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第85話 流れ着いた先

シアーゼの手筈通り流れ着いた小舟は、 海に浮かぶ小島にたどり着く。 小舟を粉々に壊してそこに用意してあった別の船で再び出航する。 それを繰り返し、一睡も出来ぬまま 驚くほど美しい夜明けを迎え 次の日の夕方頃ようやく辿り着いた国は なんとあのシシィ国だった。 王宮育ちのミミィグレースは泣き疲れと船酔いで疲弊していてアッシュに背負われている。 港とは別の岩陰に船をつけ、ファリスは崖を見上げた。 「..2人はここで待ってろ。」 「ちょっ...ファリス!?」 崖を登り始めるファリスにアッシュが慌てたように声をかける。 「助けを呼んでくる。 万が一誰かに見つかった時に備えて 高価そうなもんは海に投げとけ」 ファリスはそれだけを言い残し国に侵入した。 ファリスが連れてきた人たちによりアッシュと ミミィグレースは救出され、何故か城へと連れてこられていた。 元々シシィ国のエイリアス姫は 結婚相手候補だったのであるが、 果たして没落寸前の国の王子と王女など助けてくれるだろうか... と不安になったが、城で待ち構えていた エイリアス姫は2人を見るや否やファリスに駆け寄ってくる。

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