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第87話 たかいたかい

「……じゃあ高い高いして」 エイリアスはそういい両手を差し出した。 どう考えてもそう言っていい年齢ではないし、 背丈もファリスと変わらないのだが。 「お前なあ…」 ファリスはため息をついた。 そしてアッシュをちらりと見ては彼女を親指で指す。 「してやれアッシュ」 「ええ!?俺!?」 「国のためにできること第一弾」 真顔で呟かれ、エイリアスはじっとアッシュを見上げ すぐに頬を膨らませる。 「私ふっくんがいい!」 「わがまま言うなよ。 あのアッシュ殿下だぞ。してもらえしてもらえ」 国のためだと言われれば…、アッシュは悩んだが仕方なく腕を前に出したままの彼女の脇の下に両手を差し込んだ。 一見細身なようだが体重は結構ずっしりと来る。 しかしレディに重いと言っては失礼なので涼しい顔を作って彼女の体を持ち上げた。 「たっ、たかいたかぁい」 苦笑を浮かべながら呟くとファリスはこちらに背を向けて肩を震わせ始める。 エイリアスは不満そうに眉根を寄せた。 「私のこと重いと思ってるでしょ!わかるんだからっ」 「う…っすみません」 目線が高くなったエイリアスに指をさされ指摘され、アッシュは素直に謝ってしまった。 ファリスはしゃがみ込んで壁を叩いている。 国の一大事だというのに、こんなのんきなことをしていていいわけがない。 しかし今自分は何も持たぬ身で、地道に彼女の機嫌を取るしか出来ないのだろう、と アッシュは複雑な感情で泣きそうになりながら、ずっしりと重い肉体を抱えあげていた。 「もういいわ!おろしてっ」 落ち込みながらエイリアスを地面に慎重に下ろす。 ファリスは目に溜めた涙を拭いながら振り返ってきた。 「くくっ…お役目ご苦労」 「後でファリスもしてアゲル」 あんなに笑わなかったファリスが笑っていることはホッとできるのだが さすがに腹が立ったのでアッシュは笑顔を浮かべたのだった。

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