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第98話 世界一の女の話
「昔そいつは、花魁をしていた。
まだまだ下っ端のある日、
そいつはただ部屋の間取りが気に入らないがために下っ端のくせに楼主に部屋を変えろといってきた。
楼主はもちろん怒る、貴様のようなもののわがまま聞けるわけないだろう、と。
だがそいつは涼しい顔をして、じゃあこの店で一番稼げばいいんですね。と言い放った。
その日の晩そいつは自分目当てではなかった客を2人取ったのだが、
次の日そいつを指名したい男たちが殺到した。」
突然の昔語りにミミィグレースは真面目な顔で聞いていた。
「店は大混乱だ。
俺が先だ俺が先だと押しかける男達を見て、
そいつは言った。
"わたくしが自分で旦那様を選ぶことはできません。ですがわたくしの体は一つだけ...ですので、旦那様がたの中で一番わたくしを、
愛してくださる方と一晩共にいたしましょう"と。
客も店のものもどよめいた。
そこで私はすかさずオークションを開いた。
さあ!愛の形タァ銭の多さ!
隣のやつより多く値付けりゃ男があがる!
などと口車に乗せると男達は次々に値段を口にし始めた。
10万、20万、50万.....
そして最終的についた値は...3000万!」
「なんとっ!」
ミミィグレースは目を見開き口元を両手で覆った。
「たった一晩のために3000万出す旦那が現れ、そいつは一晩その旦那と過ごした。
もちろん稼ぎは一夜にしてトップ。
そいつは気にいる間取りの部屋に..つまり私の部屋にお引越し。
ちなみに3000万出した旦那は
"もう他の女は抱けない"と放心した様子で帰って行き、その後その姿を見たものはいない..
しかし噂が噂を呼び、
毎日毎日そいつを指名したい奴らが殺到したのでした。めでたしめでたし」
ぱんと両手を合わせて音を立てると、
ミミィグレースは拍手を送る。
「夢のような話ですわ...!
どんな人なのでしょう...お会いしてみたい..」
うっとりとミミィグレースは思いを馳せている。
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