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第100話 バタフライエフェクト
数日後、マルクがシシィ国へやってきた。
すっかり男子になってしまったファリスを見て
彼は苦笑したのだった。
「...なるほど、ミミィグレース様がそんなことを..」
暫く見ない間にどこかやつれたようなマルクは
考え込むように呟いた。
「そ。酔狂な作戦だよな。人のこと言えないけど」
ファリスはそう言って肩をすくめた。
彼女は心の凍っている皇帝相手に
軍事力でも、金でもないもので挑もうというのだ。
しかし彼女にはそれが可能にできそうな何かがあるとファリスは感じていた。
「...わかりました。こちらの動きは任せてください。
皆無事に生存しているので国のことは心配なさらず....」
マルクはそう言って微笑んだが
すぐに暗い顔をして俯いた。
簡単な近況報告をし合い、ファリスは
シアーゼが城の全員プラスアッシュ達3人を逃し1人捕まった事実を知った。
覚悟していた事とはいえ居た堪れないものがあるがファリスは顔には出さないようにしていた。
「.....絶対..守るって言ったのに.......
すみません...」
やがてマルクは消えそうな声で呟いた。
ファリスは机の下で両手を握り締めて笑顔を浮かべる。
「いや..シアーゼが決めたことだから。
それにしても全員まとめて隠しちゃうなんて流石だよなぁ。
あの城にきた初日に"隠しボスの部屋見つけた"とは言ってたけどさ〜
あいつは、強いし、なんだかんだ...
いつも...うまく立ち回って..」
ファリスは言いながら、笑って天井に消えていくシアーゼの姿が脳裏に浮かんで。
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