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第105話 恋と戦争
カイザーはしばらく考えた。
てっきり停戦交渉にでも来ると思ったのだが、
しかし、わざわざネギを背負ってきたわけではあるまい。
ミミィグレースの不敵な瞳からは何か得体の知れぬ不気味なものを感じた。
「....何が願いだ。言ってみろ」
カイザーが静かに口を開くと、
ミミィグレースは金色の瞳を静かに光らせた。
「わたくしを真に愛すること...
そしてわたくしがあなたを真に愛すること。
それが願いですわ」
ミミィグレースの言葉に世界はしんと静まり帰った。
「...................は?」
一体何を言っているというのか。
愛する、だと?
「おかしなことだとお思いですか?それは何故?目には見えないから?それとも感じたことがないから信じられないのかしら」
ミミィグレースはくすくすと楽しそうに笑った。
「わたくしは、信じます。
たとえ鬼でも竜でも、
心の凍った皇帝様でも、愛し合うことが出来ると
そしてそれは等しく平和で平穏であり素晴らしいものであるとわたくしは信じていますわ」
その無邪気な笑顔には誰も何も口出しをしない。
カイザーはあまりに突飛で酔狂な話に、は、と乾いた苦笑がこぼれてしまった。
「つまり何か、我と婚姻でも結ぼうと?」
「ただの婚姻ではダメです。
ほんっとーにほんっとーにフォーリンラブになってからですわ。
それからもう一つ、
わたくしのお願いは別にカイザー様でなくても可能なの」
「何?」
ミミィグレースは書類をくるくると丸めてしまうとそれを肩の担ぐようにしてみせた。
「わたくしのお願いを叶えてくださった方に
これは差し上げます。」
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