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第106話 挑発
「成る程な。では貴殿を落とした色男から
我が奪ってもいいと言うわけだな?」
「ふふ、そうね。頭のよろしい方。
でもその時はあなたが"わたくしを落とす事が出来なかった"と考えますわ。
そうなればきっとこちらの国の方々にわたくしと対峙するのに怖気づいてしまったと思われるかもしれませんわね」
「…安い挑発だな」
「あら、挑発に聞こえましたの?
あなた様にもわたくしの言葉が引っかかったり致しますのね」
彼女は終始余裕そうに微笑んでいたし、
まるでお茶会にでもいるような雰囲気だ。
今にも殺されてもおかしくない状況だというのに、このお花畑はなんなのだろう。
カイザーは腕を組んで彼女を観察した。
あの書類を奪うことは簡単だ。
ひ弱な腕を容易く折ってしまえばいい。
しかし、この各国の名だたる面々の前で交渉を持ちかけられ武力行使に躍り出れば
今までの余裕綽々と企ててきた戦争がちんけなものになってしまう。
なるほど、これは良い退屈しのぎをご提供してくださったというわけだ。
「何をアホなことを言ってるんだお前は…」
こちら側の誰かが口を開いた。
「そ、そうだ!
それだけの国を掛けるのがたかだか婚姻だなんてどうかしてるぞ!」
「あら、あなた方は"政略結婚"はなさらないの?
まあわたくしはそういうのは反対なのだけれどね」
ミミィグレースは野次に対しても楽しそうに微笑み、ドレスをひらひらさせて踊っているようだった。
「でもわたくしはね、
退屈なことより楽しいことがしたいの。
戦争は退屈だわ。
それより恋愛の方がもっとずっと楽しくて素敵なの
だからわたくしは
あなたと戦争ではなく、恋愛がしたいの」
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