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焼きもち
「涼太って料理上手いんだ。へぇ~意外」
「へぇ~って何よ‼」
いつまで喧嘩しているんだか。困ったものだ。
涼太の機嫌が直らず、蓮を連れ、3人で連れ立って葵のうちに向かった。台所に入り、使い勝手に戸惑いながらも、手際よく夕飯の準備をする涼太。葵に冷やかされながらもテキパキと手を動かし、蓮の大好きなカレーと唐揚げをあっという間に作り上げた。
「なるほど、そうやって真生と蓮の胃袋をしっかり鷲掴みしたのか」
「宮尾さん、さっきからうるさい」
蓮も手伝ってみんなでテーブルの上に料理を並べ、ラグの上に腰を下ろすと、いつものように涼太が右側にすわり、その隣に蓮。葵は、俺の左側に腰を下ろした。
「涼太‼葵‼手を離せ、ご飯が食べられないだろ」
二人にがっしりと手を握られ身動きを封じられた。
「食べさせてあげる。なんなら口移しにする?いつもみたいに」
「りょ、涼太‼」
「はい、あ~んして」
涼太がスプーンでカレーを一匙救い上げると口許に運んでくれた。つんつんと口の端をつつかれ、仕方なく開けると、口の中にごろっとしたじゃがいもが入ってきた。涼太の作るカレーは甘口で美味しい。
「真生って、人参が苦手だったんだよな、確か」
葵が負けじと人参を口の中に入れてきた。
「何だ、食べれるんだ」
「涼太のお陰だよ」
「あっ、そう」
葵が口を尖らせた。
「涼太、泊まらなくていいから、家に帰っていいぞ」
「はぁ⁉何それ‼」
「真生と蜜月を堪能するのに邪魔だから」
葵の毒舌振りに涼太だって負けてはいない。
「言っときますけど、真生は僕の大事な恋人‼貸してあげるだから調子に乗らないでくれるかな」
二人の口喧嘩をよそに蓮は珍しく黙ってもぐもぐと口を動かしていた。ご飯をしっかり食べたら、ご褒美に、公園に遊びに連れて行く、そう二人と指切りをしていたんだっけ、確か。パパはねんねしておきれないから、おるすばんって・・・あれ?
「蓮は偉いな」
「うん‼」
蓮にものすごく恥ずかしい事を言われたとようやく気が付いて、顔から火が出るくらい恥ずかしくなった。
「どうしたの真生?顔真っ赤だよ。あれ、もしかしてエッチな事考えていた?」
「そ、そんな訳ないだろ。子供の前で」
動揺しながらも、平静を装うだけで精一杯だった。
「僕はエッチな真生嫌いじゃないよ。むしろ、大好き」
涼太が腕にしがみついてきた。葵も負けじとしがみついてきた。
あの、お前ら・・・
今はご飯の時間。俺らが蓮の手本になるべきなのに。本当、二人には困ったもんだ。
その日は、蓮と俺を真ん中にして、四人で川の字で寝る事に。蓮は、大好きな涼太と、これまた大好きな園長先生に囲まれ、興奮するなというのも無理な話しなのだが、テンションが普段より高くなってしまい、なかなか寝てくれなくて大変だった。
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