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3人でのはじめての・・・
「絶対似合うと思うよ」
後ろで涼太がまた何やらぼそぼそと呟いていた。
「え!?何!?」
よく聞こえなくて蛇口を閉めた。
「だから裸エプロン。フリフリの白いレースのエプロン。宮尾さんがね、真生に着せたくて買って来たんだって」
思わず食器を落としそうになった。何考えているんだ葵のヤツ。
絶対似合う訳がないだろが‼
「顏、赤いよ」
「う、五月蠅いな。気のせいだろう」
この状況にも関わらずやけに落ち着いている涼太。一緒に暮らしているせいか、だんだん葵に似てきてるような・・・いや、似なくていいから。涼太は、涼太のままで。
「そういえば宮尾さん、かなり張り切っていたよ。シーツ交換したり、和室の掃除念入りにしたり、普段あまりやらないのにね。笑っちゃった。ねぇ、真生。宮尾さんの事ばかり好きになったら、僕一生許さないかね」
「はぁ!?そんな事ある訳ないだろ」
「だって僕は元々抱かれる方だったから、エッチだってそんなに上手くないしー―宮尾さんの方がきっと上手だもの」
「あのな、涼太・・・」
すっかり臍を曲げてしまった彼に、どう声を掛けようか悩んでいると、ドタバタと素っ裸の蓮が逃げ込んできた。
「蓮くん、服を着ないと駄目でしょう」
「だって、あおにいにもはだかだよ」
何で僕だけ怒られるの?
きょとんとして答える蓮の背後から、腰にタオルを巻いただけの葵が姿を現した。
「あのね宮尾さん‼」
涼太は頬っぺたをこれでもかと膨らませた。
「おぉ怖い。可愛い顔が台無しだぞ」
「ふざけないで‼」
たく、また喧嘩が始まった。
「だめだよけんかは!!」
仲裁に入るのは蓮の役目。
確か、子供の前では喧嘩はしないだったよな・・・まぁ、気のせいか。
「着替えをさせて、歯を磨いてくるから、ちゃんと服を着ててね」
深い溜息を吐いて、涼太は蓮を洗面所に連れて行った。
「真生、これ」
タオルで濡れた髪を拭きながら葵が、テーブルの上に白いものを置いた。
まさかとは思ったが、そのまさかで・・・
「あのな、考えても分かるだろう。似合う訳ないって」
「似合うとか、似合わないとかの問題じゃない。男の楽しみだよ。嫌ならいい。俺と涼太で無理やり着せるから」
葵は鼻歌を口ずさみながら、機嫌よくリビングを出て行った。
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