6 / 150

3人でのはじめての・・・

「絶対似合うと思うよ」 後ろで涼太がまた何やらぼそぼそと呟いていた。 「え!?何!?」 よく聞こえなくて蛇口を閉めた。 「だから裸エプロン。フリフリの白いレースのエプロン。宮尾さんがね、真生に着せたくて買って来たんだって」 思わず食器を落としそうになった。何考えているんだ葵のヤツ。 絶対似合う訳がないだろが‼ 「顏、赤いよ」 「う、五月蠅いな。気のせいだろう」 この状況にも関わらずやけに落ち着いている涼太。一緒に暮らしているせいか、だんだん葵に似てきてるような・・・いや、似なくていいから。涼太は、涼太のままで。 「そういえば宮尾さん、かなり張り切っていたよ。シーツ交換したり、和室の掃除念入りにしたり、普段あまりやらないのにね。笑っちゃった。ねぇ、真生。宮尾さんの事ばかり好きになったら、僕一生許さないかね」 「はぁ!?そんな事ある訳ないだろ」 「だって僕は元々抱かれる方だったから、エッチだってそんなに上手くないしー―宮尾さんの方がきっと上手だもの」 「あのな、涼太・・・」 すっかり臍を曲げてしまった彼に、どう声を掛けようか悩んでいると、ドタバタと素っ裸の蓮が逃げ込んできた。 「蓮くん、服を着ないと駄目でしょう」 「だって、あおにいにもはだかだよ」 何で僕だけ怒られるの? きょとんとして答える蓮の背後から、腰にタオルを巻いただけの葵が姿を現した。 「あのね宮尾さん‼」 涼太は頬っぺたをこれでもかと膨らませた。 「おぉ怖い。可愛い顔が台無しだぞ」 「ふざけないで‼」 たく、また喧嘩が始まった。 「だめだよけんかは!!」 仲裁に入るのは蓮の役目。 確か、子供の前では喧嘩はしないだったよな・・・まぁ、気のせいか。 「着替えをさせて、歯を磨いてくるから、ちゃんと服を着ててね」 深い溜息を吐いて、涼太は蓮を洗面所に連れて行った。 「真生、これ」 タオルで濡れた髪を拭きながら葵が、テーブルの上に白いものを置いた。 まさかとは思ったが、そのまさかで・・・ 「あのな、考えても分かるだろう。似合う訳ないって」 「似合うとか、似合わないとかの問題じゃない。男の楽しみだよ。嫌ならいい。俺と涼太で無理やり着せるから」 葵は鼻歌を口ずさみながら、機嫌よくリビングを出て行った。

ともだちにシェアしよう!