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蓮が悪魔に見えるとき

チュッチュッと、何度も首筋を吸われ、くすぐったくて思わず身を捩った。 「葵‼」 「だめ、絶対離さない。真生は、俺の‼」 葵は、涼太にみせびらかすように、わざと意地悪をしているみたいだ。 涼太は、あえて目をそらし、蓮の世話をしながら、無言でサンドイッチを口の中に押し込んでいた。 まさに、一発即発ーー。 「パパ、れんとこうかん!」 蓮が不穏な空気を察知したのか、いや、たまたまだったのか、涼太の膝から降りて、今度は、葵の膝の上に、よいしょっと、登っていった。 俺は、そのまま横に移動し、涼太の膝の上に座った。 「真生、あ~んして」 さっきまで怒っていた涼太はいつの間にか、ニコニコの笑顔に戻っていた。現金なヤツだ。 言われたままに口を開けると、涼太は、口にくわえていた、サンドイッチの切れ端を運んできて。 「りょ‼うにゃ~~」 そのまま口を塞がれた。 してやられた葵は、むすっとし、蓮は、キャーーァ‼と、かわいらしい悲鳴を上げ、顔を両手で覆った。 「真生、大好き」 口を離すと、涼太も葵と同じように抱き締めてきた。 「涼太、蓮の前では、そ、その・・・」 「蓮くんの前、だからだよ、真生。パパとママは、子供の前では、常に笑顔で、仲良くしないと・・・ね⁉」 「あの・・・俺の存在忘れていないか⁉」 葵、かなり怒ってる⁉ 憮然とした表情で、睨まれた。 「勿論、忘れてないよ。宮尾さんは、蓮くんのパパの彼氏でしょ⁉かつての恋敵・・・今もかな⁉」 そう言って、涼太は、俺の顎をグイッと後ろ向きにすると、ブチューーと、再び、口付けをしてきた。 それに怒った、葵は、蓮を抱っこしたまま、腰を浮かせると、俺の唇の端に、口唇を強く押し付けてきた。 「りょうにいにと、あおにいにと、パパ、ラブラブ。いっぱい、チューしてる‼」 蓮は、手を叩き、何故か大喜び。 でも、次の一言に、俺たちは、一瞬で、凍りついた。 「ねぇ、パパ⁉いつ、あかちゃんうまれる⁉蓮、いもうとがほしい‼」 「蓮‼お前・・・」 「りょうにいにと、あおにいにのあかちゃん‼」 満面の笑みを浮かべる蓮が、しだいに悪魔に見えてきたのはいうまでもない。

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