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涼太の想い
「そういえば、蓮のクラス、今、ベビーラッシュなんだ」
葵がぼそっと口にした。
「三月から四月にかけて、四人くらい、立て続けて産まれてて。お陰で、卒対の役員決め、かなり、難航して大変だったんだよ」
「ごめん、俺、何も知らなくて」
「別に、いいよ」
葵は、蓮の体を自分の方へ向けさせた。
「あかちゃんが産まれなくても、蓮には、パパと、りょうにいにと、あおにいにがいるだろ⁉」
「うん」
「蓮は、パパも、りょうにいにも、みんな大好きだろ⁉」
「えっとぉ・・・いちばんが、りょうにいにママで、にばんが、あおにいに」
「あれ、誰か忘れてない⁉」
「だって、れんのパパは、パパだよ。みんなのパパ」
「そっか」
葵が嬉しそうに、蓮をムギューッと抱き締めた。
「真生、俺ら息子公認の仲になったぞ、良かったな」
「はぁ⁉」
「はぁ⁉じゃないだろ‼これで、蓮の前でも、堂々とイチャイチャ出来る。涼太も、嬉しいだろ⁉」
葵に、話しを振られた涼太は、それ所ではない。
蓮に、初めてママと呼ばれ、嬉しさのあまり、涙ぐんでいた。
「涼太、大丈夫か⁉」
「大丈夫な訳ないでしょ‼」
むすっとした、これまた、可愛い顔で睨まれた。
「でも、さぁ、涼太って、普段は、女子的だけど、なんで、セックスの時は、あぁも、人格変わるわけ⁉」
って、葵ーーーー‼
蓮の前では、禁句だろうが‼
「真生を前にすると、歯止めが効かなくなる。僕、元々、ネコだから、自分でいうのもなんだけど、嫉妬深いんだ」
「だからか、なるほど・・・」
葵は、何度も頷いて、涼太の話しを聞いていた。
「っていうか、二人とも。蓮の前でする話しじゃないだろ‼」
「今後の為、必要だと思うよ」
そう言うと、涼太のヤツ、背中に顔を埋めてきて、歯をあてて軽く噛んできた。
「痛・・・ッ‼」
「真生はね、優しいから、宮尾さんと僕とこうして一緒にいてくれる。年上だけど、そんな感じ全然しないし。でもね、僕、たまに、真生を一人占めしたくなるんだよ。エッチはしなくてもいいから、そのときぐらい、甘えさせて欲しい」
涼太が、そんな事を考えていたとは・・・。
「ごめんな、気付いてやれなくて」
固い体を何とか捩り、涼太の頭を撫でてやると、嬉しそうにはにかんでいた。
「りょうにいにママは、れんの‼」
小さな恋のライバルが、むすっとして、葵の膝から飛び下りると、涼太の腕を引っ張った。
「涼太は、モテモテだな。羨ましいよ」
葵が嫌みたらしく言うと、涼太も負けていない。
「宮尾さんも、僕に、負けないようにしないと」
「絶対、負けないから‼」
売り言葉に買い言葉とは、まさに、この事で。
本当に、この二人は、仲がいいのか、悪いのか分からない。
「りょうにいにママも、あおにいにも、けんかはだめーー!!」
仲裁に入った蓮の声に、二人とも、びっくりしていた。
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