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Wデート
午前中、蓮と前から約束していたアニメの映画を見に、四人で出掛ける事に。
「宮尾さん、無理しなくてもいいのに」
「別に、無理してないし」
二人は、朝からこの調子。
妙に、涼太のヤツ、葵に突っ掛かってくる。
休日とあり、大勢の親子連れが、券売機に並んでいた。
「蓮、列に並ぶの苦手なんだ。すぐ、飽きて騒ぎ出すから」
「分かった」
葵が、蓮をひょいっと抱き上げた。
「売店見てこようか⁉蓮が食べたいもの、あおにいに、買ってあげるよ」
「やったーー‼」
蓮は大喜びで、葵の腕の中でぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
そんな二人に、周囲の視線が自然と集まっていく。
「宮尾さん、格好いいし、いかにも、イクメンって感じで・・・みんな、見とれてる」
「そうかな⁉」
「真生は、彼と一緒にいるのが当たり前になっているから、気付かないかもしれないけど、宮尾さん、絶対モテるよ」
まさに涼太の言う通りだ。
女性がほっておく訳がない。
なのに、彼は、俺を選んでくれた。
「あっ‼真生まで、宮尾さんに見とれてる」
涼太が、頬っぺたをぷぅーと膨らませた。
「そんな訳ないだろ。涼太も、可愛いよ」
「本当⁉」
「あぁ」
ここまで来ると、バカップルだな、俺ら。
前後に並んでいた、親子連れ、俺と涼太の会話を聞いて、かなり、どん引きしてた。
ようやく順番が回ってきて、入場券を購入し、蓮と葵が待っている売店へと急いだ。
「どうしたの、蓮くん、それ」
蓮は、自分の顔が隠れるくらい、馬鹿でかいぬいぐるみを抱っこしていた。
涼太が駆け寄っていくと、
「れんがあてたんだよ‼」
と、興奮冷めやらぬ様子で、大喜びしていた。それなのに、蓮のヤツ何を思ったのか、
「りょうにいにママに、あげる」
そう言って、涼太にぬいぐるみを差し出した。
「だって、蓮くんのでしょう。りょうにいには、いいよ」
「ママにあげたいの‼」
蓮は、一歩も譲らず。結局、押しきられる形で、涼太は、ぬいぐるみを受け取ることに。
そしたら、朝に引き続き、涙ぐんでいた。
「本当、蓮は、ママが大好きなんだな」
って、葵‼
こんな大勢の前でそれも、禁句だろ‼
「別に、悪いことしている訳じゃないんだから、いいんじゃないかな。蓮は、こっちの、ペンギンのストラップがいいみたい。涼太、無くすと大変だから、一緒に持ってて」
「分かった」涼太は、小さなストラップを葵から受け取ると、大事そうに握り締めた。
「まさに母親の顔だな」
葵は、一つ溜め息を吐くと、
「やはり、涼太には、敵わないな」
って・・・。
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