26 / 150

意外な人との再会

映画館に戻ろうと、アーケード内を歩いていると、一軒のフラワーショップが目に入った。店の前に並ぶ鉢植えには、色とりどりの可憐な花が咲いている。 「涼太、少し、見ていかないか⁉」 彼の手を引っ張ると、少し、困った表情を浮かべた。 「別にいいけど・・・」 気が向かないのか、足取りも重そうだ。 「嫌なら、いいよ。無理しなくても」 「そういう訳ではないんだ。このお店、知り合いがオーナーで・・・真生の事、その・・・恋人として、紹介してもいいかな⁉」 俯きがちに目を伏せて、隠したつもりだろうけど、耳まで真っ赤にさせて・・・。 めちゃめちゃ可愛い! 「恋人じゃなくて、夫だろう⁉」 噴き出しそうになりながら返事をすると、たちまち破顔して、逆に俺の腕を引っ張って店の中に入っていった。 「いらっしゃい・・・」 出迎えてくれたのは、涼太ぐらいの若い男性。野暮ったい黒縁のメガネをかけ、いかにも真面目そうな雰囲気をかもしだしていた。 「また新しい彼氏⁉あれ、年上とは付き合わないって言ってたのに・・・本当、涼太は懲りないね」 「五月蝿いな。過去の事は蒸し返させなくていいから‼それに、彼は、彼氏じゃなくて、僕の旦那様。今、同棲しているんだ」 涼太が体をピタリと擦り寄せてきた。 「それは良かった」 オーナーの男性が自分の事のように喜んでくれた。 「あれ、もしかして、彼に焼きもち妬いてる⁉」 「そんな訳ないだろ」 「彼は、吉沢。施設で一緒だったんだ」 涼太が、彼を紹介してくれた。 「佐田真生です。涼太のーー旦那です」 一瞬迷ったけど、今さら隠すつもりはないから堂々と答えた。 「涼太の事、お願いします」 吉沢という男性に深々と頭を下げられて、ビックリした。 「いえ、こちらこそ」 慌てて頭を下げた。 涼太は、何がおかしいのか、くすくすと笑っていた。 カゴや、花瓶に飾られた、色とりどりの花や、棚に置かれた小さな鉢植えや、サボテンを見て回る涼太。 「失礼ですけど、年は⁉」 吉沢さんに声を掛けられた。 「・・・三十五です」 正直に答えると、驚かれた。 何でだ⁉

ともだちにシェアしよう!