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葵の両親と、涼太の元カレ
蓮が当分動きそうもないと判断した葵が、駐車場から戻ってきてくれた。
そのまま、俺の隣にどかっと腰を下ろすと、体を傾けて寄り掛かってきた。
「重い・・・」
「今日一日分の寂しさの重みだよ」
「はぁ⁉なんだかんだといって、側にいただろうに」
「真生が俺や涼太以外に、色目使わないように見張ってたんだよ。だって、真生、可愛いから。気が気じゃなくて」
「やっぱり、一回医者に見てもらえ。頭おかしいぞ。こんな、オヤジ好き好んで誰も見ないよ」
「真生は、自覚が足りない。現に、何人か、すれ違い様に真生の事見てたし。声を大にして、僕の彼氏です‼っていいたかったけど」
涼太まで、葵の加勢に回った。
「じゅあ、分かるまでじっくりと教えてやらないとな」
「そう、夜は長いんだし」
二人とも、エロオヤジのスイッチが入ってしまった。
非常に、マズイ・・・。
「蓮くん、パパがそろそろおうちに帰りたいって」
「もうちょっとみたいなぁ・・・」
「のりまきまき作る材料買っていかないと」
涼太のその一言に、むすっとしていた蓮の表情は、パアッと笑顔の花が咲いたように明るくなった。
「れんのすきなのだ‼」
流石、涼太。
蓮に切り替えさせるのが上手い。
葵が、蓮を肩車してくれて。最初こそ、高くて怖がっていた蓮
。段々慣れてくると、葵の肩の上で黄色い歓声を上げるようになった。俺より、彼の方が父親らしいかも。
途中のスーパーで、夕飯の買い出しをして、意気揚々と家に戻ったら、駐車場に、見慣れない他県ナンバーのシルバーのセダンが駐車してあった。それを見るなり、葵の顔色が急に変わった。
「涼太、悪いけど、蓮を連れて、真生の家に行ってくれないか⁉」
「宮尾さん・・・⁉」
「真生。すまないけど、俺と一緒に来てくれないか⁉」
何となくだけど、嫌な予感がした。
「田舎に移住して、ここ一年、音沙汰なかった両親が帰ってきているみたいだ。ややこしい事に、蓮を巻き込む訳いかないから」
葵のその言葉に涼太は頷き、
「真生のうちで、ご飯作ってまってるから・・・ガンバって」
「ありがとな」
涼太と蓮が、俺んちに入るのを見届けてから、葵は、俺の手を握り締め、深呼吸して、自分の家の玄関のドアを開けた。
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