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一難去ってまた一難

「すみません、お待たせして」 いてて・・・と、腰を擦りながら、実家に戻ると、紺色のスーツを身に纏った五十代くらいの女性が脚を組みイライラしながら待っていた。 「誰かと思ったら木崎さん。ご無沙汰しております」 つり目で、笑いもしない、気難しいその性格が、どうも苦手。 彼女は、あやかのいとこだ。 「あやかが、再婚することになったの。今、妊娠五か月に入った所ーー」 「五か月って・・・うちを出ていった時、すでに、妊娠していたってことか⁉」 「まぁ、そうなるわね。再婚相手は、年下みたいよ。交際して、七ヶ月っていってたから、不倫してたって事ね、つまり。でも、あやかだけが悪いんじゃないわよ。貴方が、ちゃんと女性として見てくれないから、不倫したのよ。あやかと、蓮を、ほったらかしにした、貴方が悪いの。あやかは何も悪くないの」 横柄な態度をとる彼女に、しだいに苛立ってきた。 マイホームが欲しいと言い出したのは、あやかの方だ。 生活費を切り詰め、上手く遣り繰りして、貯金してくれていると思っていた。 でも、あやかが、家を出ていく何日か前、会社に借金取りが現れてーー貯金もゼロ、借金が八十万を越えていた。 問い詰めたら、逆ギレして、蓮の障害にこじつけやがって。 その年下の男に、俺が汗水垂らして稼いだ金を、せっせと貢いでいたーー ようやく辿り着いた真実は哀しいものだった。

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