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家事審判申立書

それから二日後。 市内にある裁判所から、家事審判申立書〔親権者の変更〕が送付されてきた。 用紙の二枚目。 親権者の変更を必要とする理由の項目。 幾つかあるうちの二つにレ点が付けられてあった。 ○相手方を親権者としておくことが、未成年者の福祉上好ましくない ○その他 ( 再婚する母親のもとで養育するのが、本人にとって、一番望ましい) 「葵、俺はどうしたらいい⁉」 「蓮を置いていったのは、元カミサンの方だろ⁉再婚相手の義父に、虐待され、中には、命を失う子供だっている。その辺りは、裁判所も、ある程度、考慮してくれると思うよ。ましてや、蓮は、発達障害をもっている。新しい父親に慣れるまで、相当かかると思う。俺の知り合いに、弁護士がいるから、相談してみるよ」 「ありがとう、葵」 「蓮にとって、一番いい環境は今のまま。真生がいて、涼太がいて。それで、俺がいる」 葵がツンツンと、自分の頬っぺたを指差した。 ご褒美をねだる年でもないだろうに。 呆れながら、チュッと、軽くキスをしてやると、子供の様に喜んでいた。 「宮尾さんばっかりズルい‼」 夕飯の準備をしていた涼太が、ふて腐れていた。 「涼太は、どこがいいの⁉」 「勿論、ここ」 唇を指差した。たく、この二人は・・・。 チュッと軽く口付けを交わすと、涼太が、寄り掛かってきた。 「僕から、蓮くんを取り上げないで欲しい・・・」 彼の気持ちも、葵の気持ちも痛いくらい分かってる。 だからこそ、あやかに蓮を渡すわけにはいかない。 父親として、出来る事を精一杯やる。今の俺にやれることはそれだけ。

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