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涼太の涙
「蓮くんもおいで」
涼太が両手を広げると、蓮は目をキラキラと輝かせて嬉しそうに胸に飛び込んでいった。
愛おしそうに、目を細め息子の頭を撫でてくれる涼太。
その溢れんばかりの無償の愛に、いたたまれなくなった。
加害者家族でもあり、被害者でもある彼を何故はなから悪者だと決めつけるのだろう。
彼は、妹思いの優しい兄であり、蓮にとってかけがえのない存在なのに。
どうしたらみんな、分かってくれるのだろう。
理解してくれるのだろう。
「涼太、一つ頼みがある」
「何⁉」
「迷惑を掛けるから、それだけの理由で、急にいなくならないで欲しい。俺も、蓮も、葵も、涼太が必要だから」
「真生・・・ありがとう・・・」
二人の事を抱き締めてやったら、後ろから、葵に抱き締められた。
「俺らはいつも四人でひとつ。これからもずっとな」
「宮尾さんまで・・・やだ、涙出てきた」
蓮が懸命に背伸びして、涼太の涙を手で一生懸命拭うと、 その健気な仕草に感極まったのだろう。涼太の目からは涙がボロボロと溢れてきた。
「蓮くん、ありがとう・・・」
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