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家事審判変更申立書

帰り際、吉田さんが何気に蓮に二つの質問をした。 然程、気にも止めなかったこの二つの質問が、調停で大きな役割を果たすことになろうとは、この時はまだ知らなかった。 「蓮くんは、パパの事、好きかな⁉」 「うん‼パパも、りょうにいにママも、あおにいにも、じいじも、ばあばも、せんせいも、くらすのおともだちも、みんな、だいすきだよ」 目をキラキラ輝かせて、即答する蓮。 「そっか。みんな、大好きなんだ」 「うん‼」 「じゃあ、ずっと、パパといたいかな⁉」 「うん‼パパと、りょうにいにママと、あおにいにと、よにんいっしょ‼」 「ん⁉」 吉田さん、頼むから、あまり深く考えず、スルーしてくれ。 「迎さんが、母親代わりを⁉」 「あっ、は、はい。どんなに忙しくても幼稚園の弁当を毎日欠かさず作ってくれますし、トイレで失敗しても、後片付けをしてくれますし、夜中にトイレに起きた時も、すぐ気が付いて、連れていってくれますし、この前、熱を出した時なんかは、一晩中付き添ってくれて。あと・・・」 「もう大丈夫です。十分、分かりましたので」 「そうですか、すいません」 玄関のドアを開け、外に出た久喜さんが急に振り返った。 「守秘義務があり、規律違反なのは、重々承知の上で一言言わせてください」 彼の発した一言に、一歩前にいた吉田さんの足が止まった。 「私は何も聞かなかった事にするから」 吉田さんが、久喜さんの肩をポンポンと軽く叩いた。 「すみません、先輩」 深々と頭を下げ、それから、俺に向かい、もう一度、頭を下げてくれた。 「迎さんにお伝えください。貴方を赦しますとーー実は、被害者遺族の一人なんですよ私・・・彼の誠実さ、優しさ・・・みなに愛される彼が羨ましいです。これからは、自分の人生を歩んでくださいと・・・」 「久喜さん・・・ありがとうございます」 男泣きなんてみっともない。 でも、今だけ、涼太の為に泣かせてくれ。

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