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ママ、バイバイまたね
「れんがほしいのはね、パパと、りょうにいにママのあかちゃん‼」
涼太に向かって、ニコニコの笑顔を見せ、また突拍子もない事を言い出す蓮。
「そうだね、僕も欲しいな。蓮くんのパパとの赤ちゃん」
涼太まで何を言い出すんだ‼
葵は、苦虫を潰したような顔してるし。
何か、頭が痛くなってきた・・・。
あやかの再婚相手は、微動だにせず、助けにこようともしない。
見かねた葵が椅子から立ち上がり、手伝って貰いながらあやかの体を支え、ゆっくりと起こした。
最初、俺と葵のやり取りを不思議そうに眺めていたあやか。
ただの園長と、保護者なら、たとえ、幼馴染みだとしても、『佐田さん』『園長先生』が普通。でも、俺達は、名前で呼びあってる。
やがて行き着いた結論に、あやかは、またまた驚いていた。
調停が不利になろうとも、別に悪いことをしている訳じゃない。
俺は、あやかに、堂々と告げた。
「涼太と、葵は、俺の大事な『夫』なんだ。家族公認のね」
「あのさぁ、さっきから、、ブチブチと、携帯ばっか弄くって。『俺は関係ない』そういう態度が、非常に、頭にくる。調停に勝訴したら、仮にも、蓮の父親になるんだろ⁉おい‼そこの、氏名不明者‼妻も助けないなんて、どういう神経してるんだ‼」
あやかが、ようやく落ち着きを取り戻し、帰り仕度を始めた時、再び葵の怒声がミーティングルームに響いた。
「すみません、園長・・・先生・・・」
あやかが、ちゃんと、『先生』を付け頭を下げた。
「ほら、あなたも」
再婚相手に目を向け、挨拶するように促したものの、彼は、プイっと、あからさまに不機嫌な態度をとり、あやかを置いてさっさと出ていってしまった。
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