56 / 150

ママ、バイバイまたね

「れんがほしいのはね、パパと、りょうにいにママのあかちゃん‼」 涼太に向かって、ニコニコの笑顔を見せ、また突拍子もない事を言い出す蓮。 「そうだね、僕も欲しいな。蓮くんのパパとの赤ちゃん」 涼太まで何を言い出すんだ‼ 葵は、苦虫を潰したような顔してるし。 何か、頭が痛くなってきた・・・。 あやかの再婚相手は、微動だにせず、助けにこようともしない。 見かねた葵が椅子から立ち上がり、手伝って貰いながらあやかの体を支え、ゆっくりと起こした。 最初、俺と葵のやり取りを不思議そうに眺めていたあやか。 ただの園長と、保護者なら、たとえ、幼馴染みだとしても、『佐田さん』『園長先生』が普通。でも、俺達は、名前で呼びあってる。 やがて行き着いた結論に、あやかは、またまた驚いていた。 調停が不利になろうとも、別に悪いことをしている訳じゃない。 俺は、あやかに、堂々と告げた。 「涼太と、葵は、俺の大事な『夫』なんだ。家族公認のね」 「あのさぁ、さっきから、、ブチブチと、携帯ばっか弄くって。『俺は関係ない』そういう態度が、非常に、頭にくる。調停に勝訴したら、仮にも、蓮の父親になるんだろ⁉おい‼そこの、氏名不明者‼妻も助けないなんて、どういう神経してるんだ‼」 あやかが、ようやく落ち着きを取り戻し、帰り仕度を始めた時、再び葵の怒声がミーティングルームに響いた。 「すみません、園長・・・先生・・・」 あやかが、ちゃんと、『先生』を付け頭を下げた。 「ほら、あなたも」 再婚相手に目を向け、挨拶するように促したものの、彼は、プイっと、あからさまに不機嫌な態度をとり、あやかを置いてさっさと出ていってしまった。

ともだちにシェアしよう!