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ママ、バイバイまたね
「はい‼蓮くんの事は、心配しないで下さい。僕や、真生、宮尾さんとで、立派に育ててみせます」
涼太は、腕にしっかりと蓮を抱き締め、涙を必死に堪えながら答えた。
「蓮は、幸せね。こんなにも、障害を理解してくれる人がたくさん側にいてくれて・・・」
「あやか、すまなかった」
思わず声を上げていた。
「診断が下りた日の事、謝る。お前が悪い訳じゃなかったのに・・・話しをきいてやれば良かったのに・・・本当に、すまなかった」
今更遅いのは分かってる。
だけど、ちゃんと面と向かって、謝りたかった。
それが、自分なりのケジメだから。
「もういいよ、真生・・・」
あやかが、力なくポツンと漏らした。
「お互い、幸せになろう。じゃあ、明日・・・」
「あぁ、そうだな」
あやかは、何度も振り返り蓮を見ながら、後ろ髪を引かれる思いでミーティングルームを後にした。
「バイバイ‼またね‼」
蓮の元気な声に見送られ、ドアの向こう側から、あやかの泣き声がしばらく続いていた。
家族がバラバラになるのが、こんなにも辛いとは・・・。
「真生まで、泣くな」
「そうだよ。僕だって、我慢したんだからね」
二人に言われ、俺は、初めて自分の涙に気が付いた。
「・・・そうだな・・・ごめん・・・」
最後は涙に崩れ落ち、蓮や、涼太、葵になだめてもらうことになった。
本当、情けない。
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