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第一回家事審判親権者変更調停
「佐田さん~‼」
入り口で、秦さんが笑顔で手を振って待っていてくれた。
「すみません、遅くなって」
「大丈夫ですよ。肩の力を抜いて、リラックスして・・・さぁ、行きましょう‼」
今日の秦さん、何だかテンションが高めだ。
窓口で氏名を名乗り、受付を済ませ、調停室に案内して貰った。
あやかはまだ来ていないようだった。
椅子に並んで座り秦さんと最終の打合せをした。万が一でも、あやかに有利な方に動いたら、すぐに異議申し立てを行い、二回目の調停日に結論を持ち越すーー。
「調停委員は、四十歳から、七十歳までの男女一人ずつで構成されています。裁判所から任命されたとはいえ、生身の人間ですから、印象を悪くしないよう注意してください」
「はい、肝に命じます」
頭の中で、何回も復習した。
そのうち、調停が始まる時間になり、調停委員が二人、入室してきた。秦さんの説明の通り、男女一人ずつ。二人とも、六十代ぐらいにみえた。
五分待ってもあやかは現れなかった。
「本日のこれからの日程を確認します」
男性の調停委員が説明を始めた矢先、ガタンと、ドアが開いて、駆け込んできたのは、あやかでなく、携帯ばかり弄ってて葵に一喝されたあの再婚相手。今だ、名前を知らない。
遅れたことを謝りもせず、憮然とした表情で、俺の隣に腰を掛けた。
(よし‼)
秦さんが、テーブルの下で、小さくガッツポーズをしたのが分かった。
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