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さみしがり屋の甘えん坊の葵も、本領発揮‼
「ねぇ、蓮くん、蟻さん、おうちに帰してこようか」
「えぇーー‼やだ‼」
頬っぺたを目一杯膨らませる蓮。
「ずっと、みてたい‼」
切り替えが難しい息子。ヤダヤダを繰り返すもの、そこは、涼太も予想していた事で。
「蟻さんのおうちで、パパとママ心配してるかも・・・」
「ありさんのパパとママ⁉」
「うん、そうだよ。もしも、蓮くんが帰って来なかったら、りょうにいにママ、必死で蓮くんの事探すよ。パパも、あおにいにもね」
涼太は、優しく微笑み掛け、蓮の頭をそっと撫でてくれた。
彼の眼差しは、慈しみに満ち溢れていた。
ついさっきまで、焼きもち妬きの本領を発揮していたとは思えないくらいの変わりようだ。
葵でさえ驚いていた。
「・・・」
口を尖らせて、涼太をしばし見詰める蓮。
涼太は、決して無理強いさせない。息子が答えるまで辛坊強く待っていてくれる。
「わかった‼ママ‼」
数分後ーーきらきらの笑顔で、蓮は大きく頷いた。
涼太と、葵に手伝ってもらい、蟻を捕まえると、ティシュに包んでもらい、それをそぉーーと、潰さないように手に持って、涼太と一緒に庭に向かった。
二人きりになり、葵が、ごろんと俺の膝の上に寝転んできた。
「まず、ご飯食べようよ」
「真生の愛情不足なの、分かる⁉」
真面目な顔をして何を言い出すかと思ったら、それか‼
「だから、今、補充中・・・涼太が帰ってきたら、そう言っておいて」
「はぁ⁉」
すりすりと頬を腹に擦り付けてくる葵。
目を細め、にっこりと微笑んで、実に幸せそうだ。
「真生・・・」
「ん⁉」
「涼太のだけか・・・⁉」
急に、声のトーンが下がった。
葵を見ると、何故か、拗ねていた。
「なんの事だ⁉」
聞き返すと、蕩けるような笑みを浮かべ、
「勿論、俺の息子も可愛がってくれるよな?」
って・・・。
「嘘・・・聞いていたのか」
「いや、聞こえたんだ。俺、耳いいし。あとで、三人でお風呂入ろう。蓮の事、頑張って寝せるから」
まじか・・・。
昨日も、散々、好き放題しておいて・・・。
葵は、憎たらしいほどニコニコしている。
さみしがりやの甘えん坊も、本領発揮だ。
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