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人のことを悪く言った報い
「なぁ、葵・・・その、ありがとうな」
「何だいきなり」
「あやかと離婚して、実家に戻ってきて、色々あったから。乗り越えられたのも涼太や、葵がいてくれたお陰。蓮の事だって、そう。俺一人ではどうにもならなかった。面と向かって言うの、恥ずかしいんだけど、こんな俺を愛してくれてありがとう」
「真生の方から、愛の告白か・・・嬉しいな」
葵が、喜色満面の笑みを浮かべていた。
「できれば、さっきして欲しかったな。涼太の前で」
「ごめんな。俺、葵も、涼太も同じくらい大事なんだ。だから・・・」
「はい、はい」
チュッと、軽く頬っぺたに葵が口づけをしてくれた。
「お喋りはこのくらいにして、さっさと寝ろ」
ぶっきらぼうに言って、俺の瞼に手をそっと置いた。
何気ない彼の優しさが心に染み渡る。
うわ言のように彼への愛を囁きながら、あっという間に眠りに落ちていった。
真生ーー 真生ーー
誰かが、俺を呼んでいる。
この声の主は・・・そう、涼太だ。
「・・・おはよう・・・今、何時⁉」
ゆっくりと目蓋を開けると、心配そうに覗き込む涼太の顔が飛び込んできた。
「えっ・・・と、六時四十分かな・・・会社まで送っていくよ」
「ありがとう。あやかは・・・いや、山辺さんは・・・」
葵に言われていたんだ。
涼太の前では名前で呼ぶなって。すっかり、忘れていた。
怒るかな・・・?
「四時前に、一〇八〇グラムの男の子が産まれたみたいだよ。推定七か月の早産だから、すごくちっちゃかったみたい・・・ごめんね、僕も今着いたばかりで・・・」
「ううん、大丈夫だ。蓮は⁉」
「お義父さんが、みててくれるっていうから、お願いしちゃった。幼稚園に送ってから、様子を見にここに来るからって・・・。お義母さんとは一緒に来たんだ」
「そっか。親父とお袋に遠慮する事はない。甘えたらいいよ」
「うん、ありがとう」
ぐるりと見渡して、葵の姿がない事にようやく気がついた。
「宮尾さんはね・・・」
クスクスと涼太が笑いだした。
「赤ちゃんのパパに勘違いされて、大変だったみたい。流石、園長先生だね、赤ちゃんの扱いが上手で、みんな、びっくりしたみたいだよ」
「そっか」
涼太に支えて貰い何とか起き上がる事が出来た。
葵はギリギリまで、お袋と一緒にいてくれるみたいだ。お袋、心強いわって喜んでいた。
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