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人を悪く言った報い
眠さとだるさと戦いつつ、夕方の五時まで何とか仕事をして、涼太に迎えにきて貰い一緒に病院に向かった。
「ありがとうは言わないから」
六人部屋の廊下側のベットに彼女は横になっていた。
俺の方を一切見ようとはしない。
「まぁ、良かった。無事で」
長居は無用だ。
「じゃあ、帰るな」
「もう二度と来ないで。ご両親にもそう言って。お金は、何年掛かっても返すから、私の事はほっといて」
「あやか・・・」
包帯だらけの体が痛々しい。
何も、強がらなくてもいいだろう。困った時はお互い様だし。
「さっさと帰ってって言ってるの分からない‼」
周囲が驚くくらい、大きな声を張り上げるあやか。傷に響くのか、小さく呻き声を上げ、布団を頭から被った。
「ちょっと‼」
「涼太待て」
「さっきから黙って聞いてれば、いい気になって。自分も、子供も助かったの、真生や、宮尾さんや、お義父さんや、お義母さんのお陰でしょ。『ありかとうは言わない』って、ふざけないでよ‼どうせ、お義父さんたちも、追い払ったんでしょ。散々世話になっておきながら・・・」
涼太は早口で捲し立てた。
あやかは、微動だにしない。
「僕、あなたが、大っキライになりました。もともと嫌いだったけど。定期的に真生や、蓮くんに会ってもいいかなって、そう思っていたけど、二度と会わせないから‼真生、帰ろ。蓮くん、お腹空かせて帰ってくるから」
「あぁ、そうだな」
あやかの方を見ていたら、涼太に手首を引っ張られた。
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