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幸の退院と、焼きもち

蓮がなかなか離れてくれなくて、涼太かなり困ったみたいだ。 見かねた親父が、蓮を抱き上げ、散歩に連れ出してくれたみたいで、出掛けた隙に抜け出し、ようやく合流できた。 それなのに俺がどこに座るかでまた揉め出して・・・。 二人には困ったもんだ。 結局、行きは涼太が運転し、俺が隣に座る。 帰りは、葵が運転し、俺は隣。涼太は幸の面倒見。 それで話しが纏まった。たく、こいつら、最初からそうすれば喧嘩せずに済むのに。 すっかり通い慣れた小児科病棟。今日で最後だ。 長期入院中で、家に帰れない子たちがいる病室の前を通るのがいつも辛かった。その子たちに比べると、蓮は幸せだ。たとえ障害があっても、五体満足でこの世に生を受けたのだから。 丈夫に産んでくれたあやかに感謝しなければならない。 あれから、彼女の行方はようと知れずーー。 幸せに暮らしていることを願うしか俺には出来ない。 「じゃあ、俺、ナースステーションに挨拶にいってくる」 来る途中で手土産に購入した、色とりどりのマカロンが入った紙袋を手に、園児のママたちを虜にする、あの蕩けるような眼差しで、意気揚々と向かっていった。 「罪作りだよね、あれ・・・。宮尾さんファンの看護士さんいっぱいいるんだよ。そういえば真生って、焼きもち妬かないよね?なんで?」 「なんでって聞かれても・・・」 涼太に言われて初めて気付いた。なんでだろう? 俺も分からない。

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