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幸の退院と、焼きもち

「だって、息子が一人増えるんですよ。これほど嬉しい事はないですよ、お義母さん」 「そうね。また、賑やかになるわね」 良かった、余計な事、言わなくて。 と思ったら・・・。 「蓮や幸のお陰で、ますます夫婦仲が良くなります」 葵‼ 頼むから、それ以上はダメーー‼ 「あら、羨ましいわね」 お袋、にこやかに笑って、同室のお母さん方に、お世話になりましたと、一人ずつ、挨拶をしに行ってくれた。 「退院の手続きは、お義母さんが全部してくれたから、このまま連れて帰っていいって。会計も済んでるみたいだ」 「そうなの?」 お袋、何も言ってなかったぞ。 「あら、ごめんなさい。少しでも早く家に連れて帰りたかったの」 俺と葵の話しは、ちゃんと耳に届いていたみたいだ。 「蓮くん待っているんだから、早く帰りましょう」 「お袋、会計は?」 「あら、いいわよ」 「そんな訳にはいかない」 「あのね、真生。あなたが安月給なのは、母さん分かっているのよ。幸ちゃんのミルク代や、オムツ代。あと、蓮くんにだって、お金は掛かるんだから。ここは、親に素直に甘えなさい」 「お袋・・・」 「そうしろよ、真生」 「お義母さんの気持ち、無下にするわけいかないから」 二人に言われ、素直に甘える事にした。 涼太が、幸を抱っこして、俺と葵で荷物を分担し、ナースステーションに挨拶をしてから、帰途につくはずだったが・・・。 「真生、宮尾さんほっといて帰ろう」 「そういうわけにはいかないだろう」 あっという間に、葵を、看護士さんや、看護助手さんたちが取り囲み、帰るにも帰れない状況に陥った。

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