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幸の退院と、焼きもち
涼太と蓮。二人して、頬っぺたを膨らませ、ぶすくっている真っ最中。
こうして見ると、似た者親子みたいだ。
涼太は、葵に焼きもちを妬いて、蓮は、幸に焼きもちを妬いている。
「ママ、抱っこ」
しきりに涼太に抱っこをせがむ蓮。
息子が、赤ちゃん返りをするのでは、ある程度覚悟はしていたが。
「蓮くん、幸ちゃん落ちちゃうから、少し待って」
どうにかして、幸を涼太から離そうと必死だ。
「真生、見てないで助けてよ」
「あぁ、ごめん」
涼太の腕から、幸を受け取ると、今にも泣きそうな顔になった。
頼りがいが全くないけど、俺、幸のパパだよ。
一応。
なのに、なぜに、そんな悲しそうな表情を浮かべるんだ。
パパも泣くぞ。
「幸と泣き比べしている暇があったら、オムツ、濡れていないかみてやれ」
「オムツ・・・⁉」
葵に言われ、そろりと幸のお尻辺りを触ってみた。オムツはさっき交換したばかり。でも、なんか、冷たいし、匂う。
「ユルユルうんちだから仕方ないよ。おいで、幸」
オムツ交換はいつの間にか葵の担当になっていた。
嫌な顔一つせず、喜んでやってくれる。
こんだけイケメンで、それでイクメン。こんな俺に捕まりさえしなかったら、それこそ、愛妻家で、子煩悩で、家庭的な理想の父親だったのに。
「涼太。俺と、蓮と、幸でそこら辺散歩してくるから、その間、真生を一人占めしていいから、その代わり、機嫌直してくれ」
「宮尾さん、いいの⁉」
涼太の声が弾み、思わず破顔した。
「蓮、おいで」
「やぁだ。」
最初は渋っていたものの、蟻さんや、蜻蛉さんがいるか、探してこよう。そう言われ、飛び上がるように大喜びして、葵の後ろに付いていった。
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