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それぞれの家族と、雪解けの時
みんな幸の事ばかり構うから、蓮はすっかり臍を曲げてしまい、ふて腐れていた。
それに気付いたおじさんが、
「蓮、じいじっておいで」
涼太の背中に隠れていた蓮を抱き上げると、ソファーに一緒に座った。
「蓮、幸が嫌いか?」
「ちがう、あかちゃんだよ。れん、きらい」
「いいか、蓮。パパも、あおにいにも、弟か妹が欲しかったんだよ。一人では、遊べないし、喧嘩も出来ない。すごく、寂しかったと思うよ。でも蓮には、幸がいる。幸は、パパとママとあおにいにの赤ちゃん。蓮は、お兄ちゃん。じいじ達や、ばあば達、みんなで、幸を守っていこう」
蓮はしばらくの間、おじさんの顔をじっーと眺めていた。
「あかちゃんは、ゆきちゃん・・・パパとママとあおにいにのあかちゃん・・・じいじ、れんわかった‼れん、ゆきちゃんのおにいちゃんになる‼」
「偉いぞ蓮」
おじさん、蓮の頭をグリグリと撫でてくれた。
正確には、あやかの赤ちゃんなんだが・・・。
「幸ちゃん、お兄ちゃんに抱っこして貰いたいって」
秦さんが、蓮の腕に幸をそっと抱かせた。
今までふて腐れていた蓮の顔がたちまち破顔した。
「ゆきちゃん、かわいい」
「だって、蓮の弟だぞ。幸も、ほら、お兄ちゃんに抱っこして貰って嬉しくて、笑っているだろう」
「うん‼」
あれほど頑だった蓮が・・・。
幸を抱っこして、笑顔で話し掛けている。
「良かったな真生」
「ありがとう」
さりげなく葵の腕が肩に回ってきて、抱き寄せられた。
「ちょっと‼」
涼太が慌てて駆け付けてきた。
「蓮のパパとママと、あおにいには、仲がいいな」
「うん‼ねぇ、じいじ」
「なんだ?」
「なかよくしてたら、あかちゃんうまれる?ゆきちゃん、いもうとがほしいっていってるよ」
「さぁーーどうかな・・・」
天使のような無垢な顔で、悪魔のような質問をした蓮に、おじさん返答に困っていた。
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