107 / 150

それぞれの家族と、雪解けの時

「蓮くん、ご飯にしようか」 ナイスなタイミングでお袋が蓮に声を掛けてくれて。 おじさん、質問攻めにあう前に何とか難を逃れた。 大人数なので、二手に分かれて食卓を囲むことに。台所のテーブルに、未沙さんたちと、葵の両親と、親父とお袋。 リビングのテーブルに、俺と、秦さんが並んで座り、差し向かいに、葵と蓮が並んで座った。 幸、下に寝せると何故かぐずって、ギャン泣きで。 「真生、先に食べてて。僕はあとでいいから」 涼太は、幸をあやす方を優先してくれた。 「迎さん、すっかりママですね」 秦さん、そんな涼太をべた褒めしていた。 「どうした涼太?珍しく焼きもち妬いてないな」 「今日はもう焼きもちを妬かないって決めたの」 「へぇ~」 葵、あまり涼太を煽るな。 後で収拾が付かなくなるぞ。 「ちなみに秦さんって、どういうタイプの男性が好み?」 葵の唐突な質問に、秦さん、何に動揺したのか、かなりむせっていた。 「宮尾さんが変な事を聞くから・・・」 「だって、早く子供が欲しいんでしょ?」 秦さん耳まで真っ赤になって、俯いた。 その時、鈍感な俺でもピンときた。 彼女は恐らく葵みたいな男性が好きなんだって。 でも、実際は・・・。 「俺⁉嘘だろ⁉こぶつきの、ただのおやじだぞ」 「だって、佐田さん、真面目で、正直で嘘つかないから。蓮くんも、幸ちゃんも可愛いし・・・もしママになれるならって思ったけど・・・」 そう言って彼女、俺の手を握り締めた。 その瞬間、涼太の顔色が変わった。 みるみるうちに、鬼の形相に。 「は、秦さん‼俺には、涼太が‼葵が‼」 「分かってます、佐田さんがお二人を愛している事」 葵、ニヤニヤ笑ってないで助けろーー!! このままいったら、俺、涼太に殺されるかも・・・。 「・・・」 妙に落ち着いた涼太がつかつかと葵に駆け寄り、幸を無言で手渡すと、俺と秦さんの間に無理矢理割り込んできた。 無表情で顔が全く笑っていない。 しかも、目が据わってる‼

ともだちにシェアしよう!