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それぞれの家族と、雪解けの時
「蓮くん、ご飯にしようか」
ナイスなタイミングでお袋が蓮に声を掛けてくれて。
おじさん、質問攻めにあう前に何とか難を逃れた。
大人数なので、二手に分かれて食卓を囲むことに。台所のテーブルに、未沙さんたちと、葵の両親と、親父とお袋。
リビングのテーブルに、俺と、秦さんが並んで座り、差し向かいに、葵と蓮が並んで座った。
幸、下に寝せると何故かぐずって、ギャン泣きで。
「真生、先に食べてて。僕はあとでいいから」
涼太は、幸をあやす方を優先してくれた。
「迎さん、すっかりママですね」
秦さん、そんな涼太をべた褒めしていた。
「どうした涼太?珍しく焼きもち妬いてないな」
「今日はもう焼きもちを妬かないって決めたの」
「へぇ~」
葵、あまり涼太を煽るな。
後で収拾が付かなくなるぞ。
「ちなみに秦さんって、どういうタイプの男性が好み?」
葵の唐突な質問に、秦さん、何に動揺したのか、かなりむせっていた。
「宮尾さんが変な事を聞くから・・・」
「だって、早く子供が欲しいんでしょ?」
秦さん耳まで真っ赤になって、俯いた。
その時、鈍感な俺でもピンときた。
彼女は恐らく葵みたいな男性が好きなんだって。
でも、実際は・・・。
「俺⁉嘘だろ⁉こぶつきの、ただのおやじだぞ」
「だって、佐田さん、真面目で、正直で嘘つかないから。蓮くんも、幸ちゃんも可愛いし・・・もしママになれるならって思ったけど・・・」
そう言って彼女、俺の手を握り締めた。
その瞬間、涼太の顔色が変わった。
みるみるうちに、鬼の形相に。
「は、秦さん‼俺には、涼太が‼葵が‼」
「分かってます、佐田さんがお二人を愛している事」
葵、ニヤニヤ笑ってないで助けろーー!!
このままいったら、俺、涼太に殺されるかも・・・。
「・・・」
妙に落ち着いた涼太がつかつかと葵に駆け寄り、幸を無言で手渡すと、俺と秦さんの間に無理矢理割り込んできた。
無表情で顔が全く笑っていない。
しかも、目が据わってる‼
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