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はじめての、育休中
「パパ、おえかりーー‼みさおねえちゃんきてるの?」
六時を過ぎて、ドダバタといつものように賑やかに蓮が帰ってきた。その後ろに、買い物袋を下げた葵と、お義母さん。
「ただ今だろ?蓮」
「みさおねえちゃん~‼」
蓮は全く耳を貸さず、涼太の所に真っ直ぐ走っていった。
「みさおねえちゃん、おえかり」
「蓮くんも、おかえり」
「ねぇ、ねぇ、あかちゃんげんき?」
「蓮くん、触ってみる?」
「うん‼」
涼太と、未沙さんの間に入れて貰って、「あかちゃん、いいこ、いいこ」と、言いながら彼女のお腹を撫でていた。
「みさおねえちゃん、れん、あかちゃんにおなまえつけたい!」
「嬉しいなぁ~じゃあ、お願いしようかな」
「うん‼」
蓮は、不思議な子だ。
女の子と診断が下りる前から、未沙さんのお腹の子は、女の子と、断言していた。
「ゆきちゃん、ねんねは?」
くるっと振り返って、今度は、弟を構い始めた。
「蓮くん、ママ、パパにお手伝いしてくるから、幸ちゃん見ててくれる?」
「はぁ~~い‼」
元気いっぱいに返事をする蓮。
涼太から幸を手渡された、未沙さんと共に、面倒をみはじめた。
「こら、涼太‼」
暇さえあれば、さっきからなにかとちょっかいを出してくる。
「火傷するぞ」
「真生が看病してくれるんでしょ」
「あのなぁ涼太・・・そんな事より、肉じゃがの味見をしてくれるか?」
「真生が口移ししてくれるなら」
「はぁ・・・?」
この状況でか。
みんないるのに。
「早くしないと、じゃがいもの形、崩れるよ」
って、だんだん意地悪モードに。
絶対、朝の事根に持ってる・・・。
仕方ないから、お玉から一口分、口に含み、少し背伸びして、それを涼太の口へと移した。
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