112 / 150

はじめての、育休中

「パパ、おえかりーー‼みさおねえちゃんきてるの?」 六時を過ぎて、ドダバタといつものように賑やかに蓮が帰ってきた。その後ろに、買い物袋を下げた葵と、お義母さん。 「ただ今だろ?蓮」 「みさおねえちゃん~‼」 蓮は全く耳を貸さず、涼太の所に真っ直ぐ走っていった。 「みさおねえちゃん、おえかり」 「蓮くんも、おかえり」 「ねぇ、ねぇ、あかちゃんげんき?」 「蓮くん、触ってみる?」 「うん‼」 涼太と、未沙さんの間に入れて貰って、「あかちゃん、いいこ、いいこ」と、言いながら彼女のお腹を撫でていた。 「みさおねえちゃん、れん、あかちゃんにおなまえつけたい!」 「嬉しいなぁ~じゃあ、お願いしようかな」 「うん‼」 蓮は、不思議な子だ。 女の子と診断が下りる前から、未沙さんのお腹の子は、女の子と、断言していた。 「ゆきちゃん、ねんねは?」 くるっと振り返って、今度は、弟を構い始めた。 「蓮くん、ママ、パパにお手伝いしてくるから、幸ちゃん見ててくれる?」 「はぁ~~い‼」 元気いっぱいに返事をする蓮。 涼太から幸を手渡された、未沙さんと共に、面倒をみはじめた。 「こら、涼太‼」 暇さえあれば、さっきからなにかとちょっかいを出してくる。 「火傷するぞ」 「真生が看病してくれるんでしょ」 「あのなぁ涼太・・・そんな事より、肉じゃがの味見をしてくれるか?」 「真生が口移ししてくれるなら」 「はぁ・・・?」 この状況でか。 みんないるのに。 「早くしないと、じゃがいもの形、崩れるよ」 って、だんだん意地悪モードに。 絶対、朝の事根に持ってる・・・。 仕方ないから、お玉から一口分、口に含み、少し背伸びして、それを涼太の口へと移した。

ともだちにシェアしよう!