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新しい生活と、新しい出会い

 仕事と育児と、二人の面倒見で一日なんかあっという間だ。  幸は、大きな病気をすることもなく、すくすくと成長していった。  平仮名が読み書き出来ない、簡単な足し算も出来ない蓮は、普通学級でなく、支援学級で小学校に入学する事になった。  支援の先生との面談を重ね、得意そうな図工と生活は、交流学習として、普通学級の児童と共に学習する事を決めた。  下校後は、放課後等ディサービス『ゆめぽっけ』で蓮を預かって貰える事になった。定員が十名で、最初は、空きがないと断られたもの、所長と葵が知り合いだったみたいで、すぐに受け入れが決まった。  ゆめぽっけのスタッフが朝晩の送り迎えをしてくれるお蔭で、俺たちも、親父たちも随分楽になった。学校が始まると、下校時間に合わせ迎えに行ってくれるから親としては安心だし、助かる。 「ぱぱ、おかえり」 「ただいまだろ、蓮」  幼稚園とはまた違う環境に慣れるか心配は尽きないけど、大勢の若いスタッフさんが、一生懸命蓮と遊んでくれるみたいで、そのうち慣れるだろう。 「佐田さん、今晩は」 「えっと・・・」 「横島です」 「すみません・・・」  彼はそう横島さん。  涼太みたいな感じの男性で、笑顔が爽やかな好青年だ。  蓮を送って貰い、今日一日の様子を話しているだけなのに、涼太に焼きもちを妬かれて困る。  

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