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新しい生活と、新しい出会い

幸を背中におんぶする姿がすっかり板についた涼太。 幸は、もうじき九か月。少しずつハイハイが出来るようになった。 「真生、おかえり」 毎日帰ってくる度、ハグとキスを求められる。 「涼太も、幸もおかえり」 人前も憚らないとはまさにこういうことで。 目の前でイチャイチャしていても横島さんは眉一つ変えない。 「いつも仲がいいね。羨ましいです」 こんな感じでさらりと受け流す。 「蓮君、また、明日ね」 「はぁ~い‼」 蓮とは笑顔でバイバイするも、涼太とはいつも睨み合いで。先が思いやられる。 「なぁ、涼太・・・」 「真生は自覚がなさ過ぎるの!!」 「そう怒るなよ」  ほっぺたをこれでもかと膨らませる涼太。 「蓮のパパはモテモテだな」 「れんの?」 「あぁ」 「うん!!」  蓮はテーブルに座り、葵に見て貰いながら、一生懸命名前の練習中。  なかなか上手く書けずに、こっちもぶすくっている。 「涼太、真生を寝取られない様にせいぜい頑張れ」 「はぁ、何それ!!」  葵は涼しい顔して、なぜに涼太を煽る? 「心配しなくても、真生とはラブラブですから。ねぇ」 「あぁ、勿論」  いきなり振られ、思わず声が上擦った。 「真生!」  仲直りするつもりが・・・。余計に怒らせたかも。 「ごめん」こういう時は素直に謝るのに限る。額に軽く口付けをしてやると、口に!!って催促された。 「たく」  仕方ないから涼太の柔らかい唇に俺のを重ねると、 「りょ・・・涼太・・・幸の前だぞ!!」  腰に腕が回ってきて、そのまま抱き寄せられ、涼太の舌が口の中に入ってきた。  背中にいる幸とがちで目が合い、慌てて彼を引き離そうとしたが、びくともしない。 「・・・ふぅ・・・んっ・・・」  すぐに息が上がり、甘ったるい声が漏れる。 涼太と出会って早いもので一年。 有りがちな倦怠期とはほぼ無縁で、涼太と葵に毎日愛されまくっている。 「お前ら!人の目の前でイチャつき過ぎ‼」 グイッと伸びてきた葵の手に、手首を掴まれ引き離された。 そのまま、廊下に連れ出され壁に背中をピタリと付けると、葵の長い指に顎を掬い上げられ、口付けをされていた。

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