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新しい生活と、新しい出会い
「・・・ただいま・・・」
「おかえり」
ただいまのキスをまずしてから、次が大好きのキス。
「あっ、葵・・・だめ・・・っん・・・」
差し入れられた葵の舌に拙いながらも、絡ませると、深く唇が重なってきて、思いっきり吸われた。
ようやく唇が離れ、うっとりとして彼を見上げると、
「・・・愛している・・・」
そう囁かれ、強く抱きしめられた。
「そう言えば、彼・・・真生みたいな人妻が好みらしいよ」
「人妻って・・葵、頭大丈夫か?」
「あぁ、俺はいつだってまともだ。何回か付き合いで食事を共にした事があって、最初の自己紹介の時、俺と一緒で男しか興味がないって言われた。その後、真生のこと、事細かく聞かれて返答に困った」
「横島さんって幾つ!?」
「ん!?」
人の髪を指で掬い上げ弄ぶ葵の耳には届いていなかったみたいだ。
「だから、幾つかなって」
「あやかさんの彼氏と同い年」
という事は、つまり九つ下だから、二十七歳になる。
「へぇ~涼太より年下なんだ」
「だから面白くないんじゃないかな」
葵と話しをしていると、蓮がひょっこり顔を出してきた。
「あおにいに、おなまえかけたよ」
「そっか、じゃあ見せて貰おうかな」
葵の体がすぅーと離れていった。
代わりに、ペタッとズボンの裾にひっついて来たのは、幸。
「お兄ちゃんにくっついてきたのか。随分、ハイハイ上手になったな」
腰をかがめ、よいっしょと幸を抱き上げると、涼太と目が合った。
「大丈夫。俺、浮気はしない。涼太と葵一筋だから」
この時は、まだ余裕でそう言ってられた。
でも、この後に、大変な事が待っているなど、露とも知らぬ俺だった。
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