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夫婦喧嘩は子供たちの前じゃなくてベットの中でするものなのか?
「ねぇ、真生。誰と会ってきたの?」
涼太の目が怖い・・・。
「えっと・・・知り合い・・・」
「ふぅ~ん、知り合いね」
涼太が鼻で笑った。
「じゃあ聞くけど、何で僕の顔を見てくれないの?それに、この匂い・・・」
長い指が胸倉を掴んだ。
「微かだけどコーヒーと、甘いコロンのこの匂いがする・・・誰と、何処行ってきたの?」
涼太に言われるまで全然気が付かなかった。
っていうか、彼の嗅覚は犬なみに凄いかも。
蓮も匂いには敏感な方だけど、更にその上がいたとは・・・。
「元々、受けで、元彼が色んな人と付き合っていたから、どういう訳か鼻だけはきくんだよね。だって嫌でしょ。ついさっきまで奥さんをを抱いていた体で、僕を抱こうとするんだよ・・・いくら愛人でも、僕にだってプライドはあったし」
「涼太・・・ごめん・・・」
下げられる所まで頭を下げ、謝った。
「嫌な事まで思い出させてごめん。本当にごめん」
「じゃぁ、正直に話してくれる?」
「あぁ、話すから。ドラックストア-で横島さんに会って、その後、コーヒーショップに・・・あっ、でも、葵がいたから、俺、五分・・・いや、十分はいたかな・・・とにかくすぐに帰ってきた」
涼太はしばらく俺の顔色を窺っていた。
針の莚とはまさにこの事か。
「おっ、夫婦喧嘩か。いいなぁ、俺も混ぜて貰おうかな」
玄関の扉が開いて、葵が帰ってきた。
「あのね、宮尾さん!!」
「涼太、そんな怖い顔をするな。幸が怯えている」
幸に目を遣ると、瞼に涙をいっぱい溜め、半べそをかいてプルプルと震えていた。
「蓮と幸の前で、夫婦喧嘩はするなっていっつも言っているだろ?お前ら、馬鹿が付くくらい仲がいいんだから、もっと仲いい所を見せてやんないと」
葵らしからぬ正論をズバッと言われ、流石の涼太も観念したみたいだ。
幸が、小さな手を大きく広げて、葵に抱っこをせがんだ。
「パパっておいで幸。俺ら邪魔みたいだから行くぞ蓮」
「うん!!」
葵は、涼太の腕から幸を抱き上げると、蓮の手を引きリビングへ向かって行った。
買ったモノをその場に置きっぱなしで、涼太に手を引っ張られ、二階へと連れて行かれた。
バタン。
ドアを閉めるなりきつく抱き締められ、キスをねだられ、そのままベットに倒れ込んだ。
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