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蓮の入学式とあやかから子供たちへの最後のメッセージ
蓮は、着慣れないフォーマルウェアが嫌で嫌で、朝から大駄々して、涼太を困らしていた。
「着たくないんなら、無理に着せることない。涼太、遅刻するぞ」
「じゃあ悪いけど・・・」
涼太は、慌ただしく出勤して行った。
「蓮、散歩しながら学校行くぞ」
「うん!!」
葵は、蓮にランドセルを背負わせ、手を繋ぎ玄関へ向かった。
「ちよっと、待って・・・」
なんでこんなに早く行く必要があるんだ。
こっちは、出かけるだけで大変なのに。
幸のミルクに、オムツに、着替えに・・・あとは・・・
あ”ぁ!!
肝心の本人の姿がない。
おんぶが嫌で脱走したのか、どこまでハイハイしていったのか・・・あちこち探していると、お袋に抱っこされて、キャーアキャーア言いながら戻って来た。
「真生が幸ちゃんをうちに連れてくるの、待ちきれなくて・・・」
「そうなんだ」
「鍵さえ預けてくれれば、このまま幸ちゃんみてるけど」
「そうしてくれると助かる」
もともと入学式の間、幸の子守りをお袋に頼んでいたから、急いで二人のあとを追った。
そしたら、門扉を出たところで蓮が立ち止まっていた。
雲一つない青空を不思議そうに見上げていた。
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