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蓮の入学式と、あやかから子供たちへ最後のメッセージ

新一年生の名前が一組から順番に呼ばれ、蓮は、一番最後に名前を呼ばれた。 本宮先生が、つきっきりで蓮のサポートをしてくれているお陰で、ちゃんと大きい声で返事が出来て、ほっと胸を撫で下ろした。 「蓮くん、校長先生の所に来れるかな」 祝辞の最後に、何故か、息子の名前が呼ばれた。  本宮先生が蓮を促し手を繋いで登壇すると、次に、 「ご父兄の方もどうぞ」 と声が掛かり、「はい!」と返事して立つと、葵も一緒に立っていた。 「お前は、保護者じゃないだろ」 「蓮の後見人には違いない」 「はい、はい」  小声でそんな話しをしながら登壇し、蓮の両隣に立った。 「今年度、なのはな学級に入学した佐田蓮くんです。当校には今まで支援学級がありませんでした。蓮くんのご家族と面談し、今年度から支援学級を開設することにしました。蓮くんは、支援学級が出来て、初めて迎える一年生です。みなさんが簡単に出来る事が、蓮くんには難しかったり、苦手だったりします。一年生八十七人全員で、蓮くんの面倒を見てあげましょうね。蓮くんが困っているときは助けてあげましょうね」  校長先生はそこで一旦言葉を止めると、蓮に、奥に着席している6年生の方を向くよう声を掛けた。 「蓮くん、分からないときは何でも6年生のお兄さん、お姉さんに聞くんだよ。みんな、蓮くんを助けてくれるからね」 校長先生の心遣いが涙が出るくらい嬉しかった。 「ほしみや幼稚園の園長先生がいらしているので、一言お願いします」  マイクを渡された葵は、ぶっつけ本番にも関わらず、一切動じることなく堂々とした態度で来賓の挨拶のスピーチをしていた。  保護者の母親たちは、みな葵の美声と、絵になる格好良さに、溜息を吐いて、うっとりとしていた。    葵は、相変わらずモテモテだ。 俺に向けられる母親たちの視線が痛い。そんなに睨まないでくれ。頼むから。

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