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早すぎるあやかの死
入学式が無事終わり、担任の本宮先生と、補助の吉川先生と話しをしてから、家路についた。
「葵、先いってて。お袋に電話するから」
「あぁ、分った」
ずっとマナーモードにしていた携帯を取り出し、画面を開いてみると、親父からの着信が十件近くあった。幸が熱でも出したんだろう、そう思いながらリダイヤルを回した。
『おう、真生か。すまんな忙しい時に』
「あぁ、大丈夫。入学式が終わって、家に向かって歩いている所だから。幸は?」
『お利口さんして留守番している』
「じゃあ良かった。もう少しで着くから、幸を頼む」
『真生』
急に親父の声が低くなった。
「どうしたの?何かあったの?」
『あぁ・・・その・・・あやかさんが亡くなって、警察から連絡があったんだ。身元保証人にワシがなっているから、それでこっちに連絡がきたみたいだ』
「あやかが亡くなった・・・嘘だろ・・・」
にわかには信じられなくて、唖然となった。
「真生、大丈夫か?」
突っ立ったままの俺に気が付いた葵が戻ってきてくれた。
「あやかが亡くなった・・・」
「そうか」
葵はすぐに事態を理解したみたいで、俺に代わって親父と話しをしてくれた。
「早すぎるだろう。大きくなった蓮や幸の姿、いつか見せてやりたかったのに・・・なんで・・・」
悔しくて悔しくて・・・
今にも押し潰されそうになった。
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