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男所帯に迎える可愛い紅一点、これがなかなか手強い
「『横島あかり』えっと・・・好きなもの・・・へぇ~蓮くんと同じなんだ。海苔巻きに、、カレーに、ハンバーグと、唐揚げが好きなんだ。明日の晩御飯、早速作ってあげよう」
「あれ、怒っていたんじゃないか?」
「煩いな」
いつの間にか涼太に笑顔が戻っていた。
翌日ーー
「蓮、お帰り」
「ママとゆきちゃんは?」
ゆめぼっけの送迎車から降りるなり、辺りをキョロキョロと見渡す蓮。
「買い物をしてから帰ってくるって。横島さんの娘さんが来るから」
「カレーおいしかったよ」
「あのな、蓮」
話しが全く噛みわないのは今に始まったわけではないか。
「蓮君、ランドセルは?忘れているよ」
横島さんが声を掛けるも、逃げ足の速い蓮はさっさと家の中へ入ってしまった。
「すみません・・・」
平謝りして、ランドセルを受け取り、利用確認表にサインした。
「今日のお昼は、スタッフと蓮くんを含め、四人のお子さんで、カレーを作りました。お代わりもしてもりもり食べていましたよ。給食が始まるまで、お弁当を忘れずに持たせて下さい」
「分りました」
「あと・・・真生、今日から娘のあかりが世話になる。慣れるまで大変かと思うが・・・」
声色が急に変わった。
仕事とプライベートはきっちり分けるタイプなんだ。彼・・・。
しかも、いつの間にか、呼び捨てになっているし。
「ちょくちょく様子は見に行く。あと、週末・・・出来るなら俺も一緒に泊めて貰いたい。宮尾さんと、焼きもち妬きの旦那さんに聞いておいて」
無理に決まっているだろう!
そう言い返すはずが、不意打ちでいきなり唇にキスをされ、何が起こったか事態を把握すまでかなりの時間を要した。
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