142 / 150
3人のイクメンパパと、ダメパパ
ドタバタと、階段を駆け下りてくる邪魔者たちの足音に、葵と、横島さんため息を吐いていた。
「いいとこなのに」
「本当だ」
素直に手を離してくれるのかと思いきや。
「葵、そこはダメ‼横島さんも、ダメ‼」
「だめ、だめって言いながら、ここはツンと勃っているぞ。幸、パパは素直でいいこだな」
胸の小さな突起を指の腹でコロコロと転がしていた葵の声が弾む。
「変な事、幸に教えんな!」
この期に及んでもまだ触る気か、お前ら・・・。
思いっきり睨んでやると、
ふぇ~~ん
自分が怒られたと思った幸が泣き出した。
「あ~ぁ、泣かせたら駄目だろう」
葵が体を起こして、幸を抱き上げるとすぐに泣き止んだ。
バタンと、ドアが勢いよく開いて、蓮とあかりちゃんが駆け込んで来た。
横島さんは寝たふりを決め込む算段だ。
あかりちゃんは、父親の事など気にも留めず、葵の隣に座り込んだ。
当たり前だが、かなり、ご機嫌斜めみたいだ。
思いっきり睨みつけられた。
女性は、幾つになっても怖い・・・。
朝ごはんの時、あかりちゃんが手を握ってくれて。
おっ、可愛いとこあるじゃん‼
そう思ったのも束の間、横島さんの隣に連れていかれた。
「あかり、ありがとう」
横島さんは、俺と二人きりになれて、機嫌がすこぶるいい。
一応、横島さん親子用に急きょ丸型のテーブルを一つ増やしたんだが・・・どういうわけか子供たちは狭いところが好きらしく、三人で、涼太と、葵の取り合いだ。幸も、一丁前に参加しているから、見ていてなんとも微笑ましい。
頬杖をついて見ていたら、横島さんと何気に目があった。
「カオ、逸らすことないだろ?俺に気があるんじゃないかって、誤解されてもいいなら別に構わないけど」
「そんな訳あるか‼」
たくっ、誰だ、この厄介な親子を家に入れたのは。
「まぁ、そんなに睨むな」
俺の視線に気が付いたのか、葵が振り返った。
彼の膝の上をゲットし、ご満悦の様子のあかりちゃんも、一緒に振り返り、いつものように、あっかんべーをしてきた。
そんな娘の行動に、横島さん必死で笑いを堪えていた。
「あ~ぁ、面白い。あかりは、真生が嫌いか?」
父親の問い掛けに、うん‼と大きく頷いていた。
一度ならず、二度、三度も。
「俺が好きになった人に、あかり・・・なかなか、なつこうとしないんだ。今回は、大丈夫かなって、思っていたが・・・なかなか手強いな」
って、横島さん。
俺を諦めてくれる気は、困ったことにさらさらないらしい。
ともだちにシェアしよう!