143 / 150

あかりちゃんのキモチ

 今日の午後、蓮と幸を連れ、親父たちと合流し、あやかの遺骨を預けるため、近くの寺を訪ねる予定になっていた。 行く頃になり、蓮が、いつものようにイヤイヤを始め、それにつられ、幸までが機嫌が悪くなり、二人して、仲良く床にひっくり返り、駄々を捏ねはじめた。 「さすが、兄弟。息ピッタリ」 「ほんとだ」 「葵も、涼太も笑って見てないで助けてくれよ」 「置いていったらどうだ。イクメンパパが3人もいるんだ」 葵の毒舌ぶりは健在だ。 その言い方じゃ、俺がダメパパって事だろうが‼ ぶすっとして睨みと、けらけらと声を出して笑いだした。 「葵と、今後一切エッチしない‼」 「はぁ⁉俺としないで、横島さんとする気か?」 「なわけないだろう‼」 耳まで真っ赤にさせて葵と口喧嘩をしていたら、 「誰だっけ、夫婦喧嘩は子供の前でするなって言ったの」 涼太が呆れながら口を開いた。 いきなり痛いところをつかれた葵。すぐに大人しくなった。 「そもそも宮尾さんが、横島さん親子をうちに連れてきたからでしょう。朝も夜も真生といちゃつけなくて、欲求不満か溜まりに溜まっているんですけど」 「まぁ、そう言うな」 プイッとそっぽを向く涼太。 しかも、「僕も、構ってて、駄々しようかな」って怖いことをぶつぶつ言ってるし。 これじゃあ、出掛けたくても、出掛けられないだろうが。 待ち合わせの時間が刻一刻と近付いてきて、焦りだけが募る。 そんな時、パタパタと、あかりちゃんが横島さんと手を繋ぎ戻ってきた。 「映画を見に行ったんじゃあ・・・」 「あかりが、蓮と一緒に行きたいって言うもんだから、途中で戻ってきた。ほら、隠れてないで‼」 横島さんに背中をポンと押されたあかりちゃん。 蓮と幸のところに行くと、しゃがみこんだ。  

ともだちにシェアしよう!