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あかりちゃんのキモチ
「・・・れんくん・・・」
一瞬、空耳かと思ったけど・・・あかりちゃんが、ここにきて初めてしゃべった!
横島さん以外、吃驚だ。
一番驚いたのは、声を掛けられた蓮の方だろう。ピタリと動きが止まり、きょとんとしていた。
「れんくん、あかりといこう。ママさびしいっていってるよ」
「・・・・うん」
心ここにあらず。といった感じの蓮。首だけ動かしていた。
「だから言ったろ」
「一言、説明が足りないの」
「まぁ、怒るな涼太。良かったじゃないか・・・これで、元の生活に戻れるぞ」
葵のその言葉にいち早く反応したのは、あかりちゃんだった。
「あかり、きょうから、ここのこになる」
横島さんが、娘がそう言うなら、俺もここに住むとまで言い出し、涼太のイライラが更に募っていった。
「パパは、おうちかえって!!」
「なんでそう冷たい事言うかな」
「だってパパのこと、あかり、きらいだもの」
ぷいっとそっぽを向くあかりちゃん。
「娘の尻に敷かれているんだ。いいなぁ・・・俺も、可愛い妻の尻に敷かれてみたいよ」
思わせ振りな視線を葵に送られるわ、涼太とあかりちゃんには睨まれるわ、横島さんは下心見え見えだし・・・。
まさに、四面楚歌ーー
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