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第13話《アキラの病》
数日後…
コウジは健次の病院に来ていた…
どうしても知りたいことがあったから…
「コウジ、いらっしゃい。よく来てくださいました」
いつも優しく迎えてくれる健次。
「健次さん…時間大丈夫?」
いつも忙しそうな健次を気にかけるコウジ…
「えぇ、どうぞ。どうかしたのですか?」
コウジを招き入れ、椅子に座らせて言葉を待つ。
「…アキラのこと、教えて」
「え?」
「前…倒れてここに運ばれたでしょ、あれ…普通じゃなかった…アキラ、何か病気持ってるよね…教えてほしい、アキラの本当のことを…」
アキラの隠していること…すべて知りたい。
「コウジ…アキラから聞かなかったのですか?」
「アキラは…本当のこと言わない…けど、知りたいんだ…僕はアキラの弟だから…」
アキラに近づくために頑張ったけど…
アキラは教えてくれない…
だから…
「お願い、健次さん」
「コウジ…分かりました。アキラのこと教えます」
健次は、コウジ気持ちを受け止める。
「…健次さん」
「でも、約束してください、これを聞いたら…アキラと仲良くしてください、これまで以上に、アキラのことを守ってあげてください」
健次は真剣に言葉を紡ぐ。
「…うん。約束する」
コウジも瞳を合わせて真剣に頷く。
「ありがとうございます…では…」
その日…健次さんから、アキラの病気についてすべてを聞いた。
先天性の難病を持っていること。
それは徐々に身体を蝕んでいく進行性の難病だということ…
その病気は治らない病気だということ…
そのことを…アキラは知っていると言うこと…
「……」
信じられない思いで言葉に詰まるコウジ…
「もしかしたら…アキラは、二十歳の誕生日を迎えられないかもしれない…」
静かに伝える健次。
「えッ…」
はっとするコウジ…
「一昔前なら…確実に二十歳前に亡くなっている病です。しかし今は、新薬が開発され、病気の進行を抑える薬も数種あります」
健次はフォローするように言葉をつなげる。
「本当に治らないの?」
「今現在、治療薬、治療方法はないですが…難病の研究は日々進んでいるので、いずれはアキラの病に効く特効薬も開発される筈です」
それが早いか…
アキラの病の進行が早いか…
「……」
そんな不確かな希望しかないなんて…
「希望を捨てないようにとアキラにも伝えています。だからコウジは、アキラがこれからを生きるために力をかしてあげてください…」
「……うん」
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