重い気持ちで帰宅するコウジ。 アキラが背負っているものの重さを考えると… 『オレには未来がない』 アキラの言った言葉が蘇り… 胸が痛くなる。 「僕たち…まだ11才なのに…未来がないって、そんなの…」 悲しすぎる… 治らない病気を持ってるから僕とは違う… でも、だからって…自分を売るようなこと…しなくても… いつから…アキラは… 思いながらいつの間にかアキラの部屋の前に来てしまっていた… アキラのこと…嫌いだけど… でも… 「アキラ…入るよ」 部屋をコンコンとノックして入っていく。 「……」 返事がないと思ったら… 寝てる？ アキラはベッドに伏せていた… 机の上には食べかけの食事… 全然食べてない… 「…アキラ？」 そっと顔を覗き込んでみるコウジ… その寝顔にハッとする。 泣いてる… 「……」 疲れきって眠っているようなアキラ… その落とされたまぶた… 瞳からは涙の雫が零れていた… ドキリと心臓が鳴った感覚が走る。 コウジはそれ以上、アキラに触れられなくて… 静かに部屋を後にする。 自室に戻って布団に横になる。 「アキラ…」 いつもなにを見ても、言われても…無表情でまったく気にしてないようなアキラだったから… 泣いた姿なんか想像もしてなかった… でもアキラは… お父さんからは無視されて… お母さんもいなくて… 治らない病気抱えてて… 身体売るようなことしてて… いつも独りきりで… 本当はずっとつらかったのかな… 僕がそんな状況だったら…きっと… 生きていけない… それに…身体売るような仕事も…やめたくてもやめれないのかもしれない… BOUSからの電話… 途中やめは出来ない… そう言ってたから… なら、僕になにが出来る？ アキラの為に… 今すぐ出来ることは… アキラのことを知って、アキラをほっておけなくなったコウジ。 アキラのために自分ができることを考える。 両親の代わりにはなれない… 病気を代わってあげることはできない… 身体を売る仕事もやめさせられないなら… 一人ぼっちのアキラに…僕が出来ることはひとつだけ… そう… アキラを独りにさせないことだ… アキラのこと、もう無視しない… 独りで泣かせたりしない… アキラがなんと言おうと関わり続ける。 そう強く決意するコウジ…。