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告白 修斗の場合①

周と竜太君の遊園地デートに便乗した。 圭さんと陽介さんも一緒だ。 ……なんかさ、気のせいかもしれないけど、圭さんと陽介さん、最近二人して元気がないんだよね。だから俺が誘ったんだ。 トリプルデート! みんなで電車で移動して、遊園地で一日中遊んだ。久しぶりの遊園地はめっちゃくちゃ楽しかった。 周と竜太君はここで宿泊── 実は俺も同じホテルを予約していた。楽しそうだって思ったのもあるんだけど、康介とちゃんと話しがしたかったから…… 宿泊するということを康介に言わなかったのは悪かったと思うけど、でも言ったら絶対嫌だと断ってくると思ったからさ。 圭さんの家に泊まった時、俺は確信したよ。 康介も俺の事、ちゃんと恋愛感情有りで好きでいてくれてるって…… でも俺がいくら好きだって言っても康介は信じてくれない。 ちょっと強引だけどさ…… 俺も康介が好きなんだって事、ちゃんとわかってもらいたかったんだ。 それなのに…… ホテルにチェックインして折角一緒に過ごしてるのに、康介の奴ってば買い物の時も飯食ってる時も全然俺と目を合わそうともしない。 一人ガツガツと弁当二個も食って、さっきからコソコソ竜太君と喋ってる。 ……なんだよ。 なんか俺、やらかしたかな? もしかして康介、本気で嫌がってるのかもしれない…… しばらく楽しく飲んでたけど、周が竜太君といちゃいちゃしたくなったのか、俺らは追い出されるようにして部屋出る羽目になった。 康介は俺の後を黙ってついてくる。 相変わらず黙ったまんま。部屋に入ったものの、どうしていいのかわからなくなった。 気不味いのは嫌だ。 とりあえず部屋を進み、黙ってベッドに腰掛ける。 「……ねえ! そんなに俺と一緒なの嫌?」 少し焦って思わずキツイ口調になってしまった。 「……そんな事ない……です」 泣きそうな顔の康介に申し訳なく思った。 俺の独りよがり…… 勝手にこんな所に連れてきて、自分の思うようにならなくてイラついてるなんてクソだな俺は。 これ以上康介の顔を見ることができずに俺はベッドに座ったまま窓の外に目を向ける。気付いたら康介が俺の前に立っていた。 震える声で、言葉を詰まらせながら俺のことが好きだと言う康介。挙げ句の果てに「気持ち悪くてごめん」なんて謝ってきた。 ……バカだな、康介。 「康介が俺の事好きだって……ちゃんと知ってるよ?」 ポロポロと涙を流しながら俯く康介の腰に抱きつき、顔を向けてちゃんと伝えた。 「ねぇ、こっち見てよ……気持ち悪くなんかないよ? 康介……好きだよ。俺だって同じ気持ちなのに」 今度こそ、俺の言う事信じてよね。 ……でも、やっとだ。やっと康介が俺のことを「好き」だと言ってくれた。ちゃんとわかっていたけど実際に康介の口から溢れたその言葉に、俺は嬉しくて泣けてしまった。 俺が泣いたと驚く康介。 康介は俺の両手を握ったまま、額と額をくっつけてきた。 「修斗さん、俺……大好きだよ……ちゃんとキスしていいですか?」 こんな距離で、優しく囁くように言われてドキッとする。でも……嬉しい。 返事のかわりに、俺は康介に唇を重ねた。前は軽く啄むようなキスしかしてない。康介は男同士で舌を絡めるようなキス、大丈夫かな…… 恐る恐る舌を差し出してみる。 すると、康介はその先に軽く吸い付いてくれた。 チュッ…… 小さな音を立て、お互いの唇が離れる。 目が合って、なんか照れくさくて笑ってしまった。

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