19 / 210

告白 修斗の場合⑩

二人で向かい合い、お互いをティッシュで拭き合った。ちょっと照れ臭くてクスッと笑う。そして康介がそそくさと風呂へ行き、湯船に湯を張ってくれた。 ジャージャーと水の流れる音がして、ベッドに戻ってくる康介。 相変わらずの赤い顔で「お風呂一緒に入りましょうね」と言って笑っている。物凄く照れ臭かった。きっと康介も同じ思いだ。俺はコクンと頷き、康介に抱きついた。 ベッドで二人で微睡んでいると、康介が俺の髪を弄り始めた。顔にかかる髪を優しく退かしながら、俺の頬や額にキスをする康介。 「俺、まだ信じらんない…… 本当に夢じゃないですよね?」 そんなセリフに俺は思わず吹き出した。 「あんな野獣のように腰振ってた奴の言うこと? …… 俺は康介がエロすぎてびっくりしたよ」 「いや、違うから! 修斗さんだって! あんなに可愛いなんて反則ですって…… 修斗さん、感じやすいの? あんな顔であんな声まで出されたら…… しょうがない……」 そう言いながらまた俺の胸に顔を埋めぺろっと舐める。小さな声で「もう一回したい……」と言ったのを俺は聞き逃さなかった。 「だめだかんな!」 慌てて康介の頭を押さえる。「二回戦目はまた今度に…」そう言って俺は康介にキスをした。 「ほら、風呂できたし…一緒に行こ」 俺は康介を引っ張り風呂場へ行く。 康介に後ろから抱きかかえられるようにして湯船に浸かった。 康介が俺のうなじに口付ける。さわさわと体を触られまた変な気分になってしまいそう。 でも…… 立て続けなんて体が持たない。 「ねえもっかいしたい……修斗さん」 そんな可愛く言われても無理。 「ごめんな、俺もしたいけど、体の方が……な。ケツがまだ慣れないから……勘弁な」 そう言ったら康介が心配そうに俺を見た。 「ごめんなさい! しんどかったっすか? 俺…… 自分ばっかり……修斗さんごめんっ 」 「いやいや、大丈夫。そうじゃないって。俺もすげえ気持ちよかったし、康介に突かれて俺もちゃんとイッただろ? 単に俺の体力の問題」 いや、本当の話…… 俺体力無いんだよ。元々虚弱体質。周に感化され鍛えたけど、持続力は無い。 「俺、エッチな事しなくてもこうやって修斗さんと一緒にいられるだけで幸せです」 俺の首筋、背中にチュッチュしながら康介が言う。犬みたいでなんだか可愛い。 「あんまり説得力ないよな。エロ康介が……」 「ちょっと! エロエロ言わないでください!……でもね、ほんと憧れだったんです修斗さん」 「大袈裟じゃね?」 憧れとか言っちゃって、俺のどこにそんなに憧れる要素があるんだろうか。 「ううん、俺初めて兄貴につれて行ってもらったライブで修斗さん見た時、生まれて初めて男の事を綺麗だって思ったの。綺麗でかっこよくて…… でも全然気取ってなくてフレンドリーだし、おまけに強いし…… 竜が周さんと付き合うようになってからは、どんどん俺も修斗さんと仲良くなれてほんと嬉しかった」 「なにそれ照れんじゃん! やめて」 俺は照れ隠しにパシャパシャと顔に湯をかける。 「その憧れてた修斗さんが、俺のもんになった…… へへ。嬉しすぎる」 康介、今絶対可愛い顔してた…… 俺の後ろにいる康介の表情は見えなかったけど、今こうやって喋ってる康介は可愛い顔をしてんだろうな。 「あ! でも、修斗さん? あんな可愛い顔、絶対他の奴に見せないで下さいよ! ダメだよ! ……ねぇ、わかった? 修斗さんのああいう顔は俺だけのもんですからね!」 急に思い出したかのように慌てて俺を後ろから覗き込みながら言う康介に、俺は唇を重ねた。 「当たり前だろ? ……てか、あんな顔って。康介だからあんな顔にもなるし、あんな声も出ちゃうんじゃねえの? 安心しろよ。俺は康介だけのもんだから……」 そう言ったら康介はこれでもかってくらい笑顔で俺に抱きついてきた。 「康介? 今度、ちゃんと二人でデートしような」 「え? デート……? 」 「だろ? 俺たち付き合ってんだから……」 顔をクシャクシャにして笑いながら強く頷いた康介の目から涙が溢れた。 ── 告白 修斗&康介の場合 終わり ──

ともだちにシェアしよう!