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初めてのクリスマス②
「なんだよ、康介はどうした? お前そんな可愛い姿で一人でいんなよ!」
僕が周さんに怒られてる時に康介がドリンクを二つ持って戻ってきた。
「あ! 周さん! …… あれ? 周さんはサンタじゃないんすか?」
周さんの姿を見た康介が疑問をぶつける。
ほんとだよ! なんで僕だけこんなコスチュームなの? 周さん、酷いや…
「いや、俺達もクリスマス仕様だぜ?」
「………… 」
暗くてよくわからなかったけど、周さんをよく見てみると被っているハットのリボンの部分が赤と緑のクリスマスカラーだし、黒いジャケットの下に見えてるベストも深みのあるワインレッドと緑色。
確かにクリスマスっぽいし格好いいよ? とってもお洒落だ。でもさ、僕がサンタのコスプレする必要はあったのかな?
僕が悶々としていると、周さんがぎゅっと抱きついてきた。
「やっぱり竜太は最高だな! 超可愛い!」
満足そうな周さんに、僕は複雑な気分だった。だって僕は女の子じゃないし、可愛いと言われても素直に喜べない。 周さんが嬉しそうなのは僕も嬉しいけど。
「俺ら今日はトリだから」
そう言って周さんはしばらく僕らと一緒にいた。
「そういえば周さん、修斗さんは?」
周りを見ると、まだ出番じゃないからか圭さんも陽介さんと一緒に楽しそうにしている。それなら康介も修斗さんと一緒にいたらいいのにって思ったんだ。
「修斗なら、まだ支度が終わらねえから控室。あいつは多分こっちには来ないんじゃね?」
二つバンドが終わったところで、周さんも控室へ戻って行った。
僕はまた康介と一緒にステージを見る。
「楽しみだね 」
「そうだな!」
修斗さんは結局こちらには一度も顔を出すことはなかった。
照明が暗くなり、ステージに周さん達が登場する。
あれ?
んん???
思わず僕は康介を見た。
「ねえ…… 修斗さんは?」
ステージに現れたメンバー。どういうわけかそこに修斗さんの姿はない。でもさっき周さんは修斗さんは支度をしてるって……
周さん、圭さん、靖史さん……と順番にステージに登場する中、一人だけ凄い綺麗な女の人。
まっすぐに伸びてる黒髪ストレートヘアのその女の人は、薔薇飾りの付いた黒いレースのベネチアンマスクをつけ、真っ赤なルージュ。ベアトップのミニスカートのかなりセクシーなサンタ衣装で、ベースを肩から下げている。
そんなセクシーなサンタのコスチュームで、表情を変えずに鋭く客席を見下ろしていた。
凄く綺麗……
思わず見惚れる。
客席は物凄い盛り上がり。
「あれ誰だろう…… 」
僕が康介に聞くと、耳まで真っ赤にした康介が「……あれ、修斗さんだ」と呟いた。
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