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初めてのクリスマス⑦

宴会場に戻ると、周さんは最初と変わらない場所で豪快に飲んでいた。隣で靖史さんが捕まっている。靖史さんの首に腕をかけて何やら大きな声で楽しそうにしてるけど、そんな周さんに捕まってる靖史さんは迷惑そうに見えた。 ほんとだ…… 周さん、酔っ払ってる。 まったくもう! 僕はすぐそこにあった水をグイッと飲んだ。そう、喉が渇いてたからね。ゴクゴクっと喉を鳴らして気が付いた。 ……ああ、これお酒だ。 「大丈夫……たいして飲んでない……」 僕はそう独り言を言うと、周さんに向かって歩き出した。 みんなが僕に注目する。 なんだよ! 見んなよ! ちょっとイラっとしながら僕は周さんの目の前に立った。 横で圭さんが僕に向かって何か言ってる。 「竜太君ダメだよ、テーブルの上歩いちゃスカートの中見えちゃうよぉ。お行儀悪いよー」 「そこ? ダメって理由 そこ?」 圭さんとその近くの知らない人達が僕の方を見て笑ってる。何言ってんだかよくわからないしどうだっていいや。 僕は胡座をかいてる周さんの足の間にストンと下りてそこに座ると、そのまま周さんの腰に抱きついた。 「周さん! まわりに迷惑かけちゃダメです!」 周さんの顔をきっと睨むと、周さんが僕の頬をムギュッと捕まえた。ちょっと、僕怒ってるんですけど? 周さんたら酔っ払っちゃってみっともない。 「りゅーたぁ! そろそろ行くぞ。俺がいいところに連れてってやる」 え? 「これからどこかに行くんですか?」 僕が聞くと周さんは嬉しそうにユラユラと揺れた。 「今日はクリスマスだもんな。大切な人と一緒に過ごすんだ俺は」 そう言って、周さんは僕をギュッと抱きしめてくれた。 周りに沢山の人がいて注目されてたけど、お酒が入ってたからか僕はあまり恥ずかしくなかった。 しばらく僕は周さんの胡座の中に収まって、周さんに抱きつかれるようにしてお喋りを楽しんだ。久しぶりだったし、周さんが僕とのクリスマスを特別に思ってくれていたのがわかって浮かれてしまったから。 お互い向かい合ってそんな風に密着して座ってるもんだから、冷静になればなんて格好をしてるんだ! と気付けたんだろうけど、その時は二人して酔っ払っていたのでなんとも感じなかった。 でも、後日修斗さんに写真を見せられて卒倒しそうになったのは言うまでもない。 僕と周さんは周りに無自覚にイチャイチャを散々見せつけた後、二人で先に店を出た── 「寒いだろ? もっと俺にくっつけって」 そう言って周さんは僕をグッと抱き寄せる。 「周さん……あったかい」 街の喧騒から外れ、だいぶ歩いた。 少し肌寒いくらいが酔い覚ましに丁度よかった。

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