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初めてのクリスマス 修斗の場合①

クリスマスライブ── 今年もやるのか…… あれ。 まあ、去年も楽しかったし? そういうノリは嫌いじゃないから別にいいんだけどさ、 ……康介はどう思うかな。 俺は控え室でメイクをする。もともとが女っぽい顔だから、フルメイクをすると本当に女みたいで我ながらビビる。他のメンバーより多少は支度に時間がかかったけど、それでももう慣れたもので出番まではしっかり時間が余っていた。周なんてさっさと竜太君のいるフロアに行っちまったし、圭さんも陽介さんに呼ばれたみたいで行ってしまった。 「今年は康介君と一緒にいればいいよ」なんて気を使って言ってくれたけど、俺はこの姿で康介に会う勇気はなかった。それに去年の事を考えたら、尚更この姿で野郎だらけの所に行くのは気が引けた。 いよいよ本番…… セクシーなサンタコスでステージに出ると、客席でポカンとした康介と目が合った。 康介は耳まで真っ赤にして俺のことをジッと見ている。 ごめんな…… 多分康介はこういうの好きじゃない。 ライブが終わり恒例の打ち上げに行く。圭さんに言われ、俺は周と行動をすることになってしまった。これも去年と同様、周りを静かにさせるため。 しょうがないとは思うけど、やっぱり康介と一緒にいたかった。 道中後ろを見てみると、康介は竜太君の肩を抱いて歩いている。きっと竜太君もやたらと声をかけられているんだろう。周も気が気じゃないみたいでさっきからブツブツ文句を言っている。康介がいるから大丈夫だと言いつつも、やっぱり俺の心境は複雑だった。 打ち上げ会場となる店に到着する。またここかよ! この居酒屋の座敷は狭いし長テーブルだし、あまり動けないから嫌いなんだよ。案の定、来た順から奥に押しやられ、康介達と離れてしまった。 最悪だ…… 圭さん達の合図で宴会が始まった。俺は気になって何度も康介の方を見たけど、あいつはちっとも俺の方なんが見やしねえ。それに凄いハイペースでグラスを空けてる。まさか酒じゃねえだろうな…… 段々俺は心配になってしまった。 時折こちらに視線を送り、キッと睨んでくる。怒ってるって丸わかりだった。でもしょうがねえじゃん。 せっかくのクリスマスなのにさ…… まだ康介とひと言も話してないや。 ふと見ると康介の姿がない。 ── トイレかな? 俺はやっと康介と話ができるかも、と思い席を立った。 トイレに向かってる途中で康介に出会い捕まった。康介は真っ赤な顔をして無言で俺の肩を掴む。そのままグイグイと押されながらトイレへ向かった。 「康介? 飲み過ぎてない? 大丈夫?」 俺が心配して見るも、チラッと俺に目をやるだけで何も言ってくれない。 ……なんだよ。そんなに怒んなくてもいいだろ。 男子トイレに入るなり、康介に思いっきり押され、壁に押し付けられた。 「痛えって! 何すんだよ」 力が強い…… 本気で肩が痛いんだけど。でも俺を睨む康介の目が怖くて強く文句を言えなかった。 「……康介?」 「黙れ!」 一瞬怯んだ拍子に強引にキスをされた。いきなりのことでびっくりして逃げられない。体を押し付け貪るように舌まで絡めて俺を舐った。こんな所、誰かに見られたらどうすんだよ! でも俺は康介の熱い抱擁に動くことができなかった。 「んっ……ん、康介?」 「……だ……やだよ、ムカつく! ……修斗さん、周さんとくっつき過ぎ!」 康介に壁ドンされて、鼻と鼻がくっつく勢いの距離で睨まれる。 「その格好も駄目だよ…… そんな格好、俺の前だけにして! 他の奴らがエロい目で修斗さん見んの、俺 我慢ならねぇ! 絶対ダメ……」 そう言いながら、俺の腰を弄ってくる。スカートの下から直接俺の太腿に触れる。康介は首筋に顔を埋めながら「ダメだよ」と何度も呟いた。 ゾクゾクする…… 「なんだよ…… 康介だって竜太君の肩抱いてたじゃんか」 俺がそう言った途端、康介は俺の顎をガッと掴んだ。 「あ? どの口が言ってんだ? 修斗さんのせいでしょ? …… 俺がどんだけ修斗さんの事が大好きか わかってねえの?」 酒の匂いをプンプンさせて俺に怒鳴る康介。 ……びっくりした。 そうだよ、康介ってばめちゃくちゃ酔ってるんだった。 「康介? …… ごめんね。飲み過ぎだね、大丈夫?」 宥めようとしたけど逆効果だったのか「うるさい!」と怒鳴る康介に腰を掴まれ、奥の個室に押し込められてしまった。

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