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康介修斗のバレンタイン 1
バレンタインが近づいてくる。
俺はせっかく修斗さんと恋人同士になれたんだから、クリスマスは勿論、こういったイベント事はちゃんと楽しみたいと思って、日頃の感謝の気持ちも込めてチョコを渡そうと考えていた。
でもさ、修斗さんは凄いモテるから今までも沢山のチョコをもらってきたんだろう……そう考えると俺はどんなチョコをあげたらいいのか凄く悩んでしまう。
普段、放課後とかに修斗さんとよく遊んだりしてるけど、この人甘い物も結構好きでよく食べるんだよね。流行り物とか新商品なんかは必ずチェックして食べてるし……
てか、俺も一緒に食べさせられるけど。
チョコもきっと好きなんだろうな。
雑誌なんかで人気のチョコを調べてみたり、竜にそれとなく聞いてみたり……
散々悩んで悩んで、俺は手作りチョコをプレゼントする事を決意する。俺の手作りならどんなチョコとも被らない、オリジナルだ。意外性で修斗さんもきっと驚いて喜んでくれるはず……
……喜んでくれるよな?
バレンタインまであと僅かに迫ってくると、保健医の高坂先生と付き合っていると最近教えてくれた志音が、やたらとバレンタインの事を聞いてくる。
そんなにあげたきゃあげればいいのに……いちいち俺に聞いてくんなよ。
手作りをあげるなんて恥ずかしすぎて絶対言えない。
「康介君は? 修斗さんには何もしないの?」
だから俺に聞くなって……
咄嗟に俺は何もしないと言ったけど、すかさず竜にチラ見されてしまった。
俺が嘘ついたの、絶対バレてるな。
あ! そうだ、竜に相談すればいいんじゃん! 一人で悩んでいてもしょうがない。俺は竜に相談することにして、放課後話を聞いてもらうことにした。
放課後、竜の家にお邪魔させてもらった。
でも恥ずかしくてなかなか言い出せないでいると、竜はすぐに察してくれて修斗さんとバレンタインはどうするのか聞いてくれた。
「あ……えっと、うん、修斗さんにチョコあげたいんだけどさ……その……俺……俺がチョコ手作りするのっておかしいよな?」
すげぇ恥ずかしい……ひくかな?
めっちゃドキドキしながら竜の顔を見てみると、ニコニコしながら俺を見ていた。
「いいじゃん ! 修斗さん喜ぶよ! 実はさ、僕も初めは周さんに手作りチョコプレゼントするつもりでいたんだよね。でも周さん、お酒の入ったやつが好きだって言うから、それは作れないから買うことにしたんだ」
竜も嬉しそうにそう言うもんだから、凄く安心した。
手作り、おかしくないよね?
自信は持てたけど……肝心の作り方がわからない。
竜ならわかるよね?
できたら教えてもらいたい。
話の流れでチョコ作りを教えてくれと頼んだら、ちゃんとした作り方なんて知らないよ、なんて言われてしまい驚いた。竜は最近料理もしているから、こんなことお茶の子さいさいだと思ってたのに、とんだ誤算だ。
まあ、でも竜の言う通り、チョコを溶かして固めるだけだしなんとかなるよね。
とりあえず初心者二人でレシピを検索しながら練習する事になった。
竜、ありがとうな──
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