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康介修斗のバレンタイン 3

兄貴に揶揄われながら、自分の家で練習を重ねる。 だいぶ上手く出来るようになってきて自信もついた。 と言っても、成功する確率は相変わらず半々だった…… 俺って本当に不器用なんだな。 今日は竜に付き合って駅のそばにある話題のチョコ専門店へ行った。周さんへのチョコはそこのを買うんだって。 俺、ここんとこ自分の作ったチョコばっか食ってるから少々食傷気味……でも行ってみたらすげえ綺麗で美味しそうなチョコが沢山あってテンション上がった。 でもこんなの見ちゃったら俺の作ったのなんてクソじゃん…… いや実際クソみたいなんだけどね。 きっと修斗さんはこういうのも沢山バレンタインに貰っちゃったりするんだろうな。 なんだか悲しくなってきた。 店に入っても もじもじしちゃって何も言えない竜に変わって俺が店員に聞いてやった。そしてやっと竜もプレゼントするチョコを決めることが出来て、俺らは店を出た。 バレンタイン当日のことを話したり、チョコの話をしたり幸せいっぱいなはずだったのに、そんな幸せな帰り途中で俺が目にしたのは、綺麗な女の人と手を繋いでる修斗さんの姿だった。 ガーン! って表現はまさにこれだな! ってくらい頭に衝撃。 凄いショックだった…… あの女誰? とか、何で? とかよりもまず頭に浮かんだのは「別れ」だった。俺はもう修斗さんしかダメなんだって思い知らされた。 俺は頭の中で叫んでた。 多分俺、今までこんなに人を好きになったことなんてない。 その事に一瞬で気が付いてしまって、こう頭の中で叫んでた。 『俺を捨てないで!』 情けない。でもしょうがないんだ。 どうしたらもっと好きになってもらえるだろう。 どうしたらもっと俺に夢中になってくれるんだろう。 竜に呼ばれるまでずっとそんな事を考えていた。 俺……めっちゃ女々しい。 重症だ。 自信がないよ。 次の日学校に行くと修斗さんに呼ばれた。俺は重い足取りで屋上へ行った。昨日から竜が一生懸命慰めてくれたり励ましてくれてたりしていたけど、全然そんなの頭に入ってこない。 昨日の女の人はお姉さんなんだと修斗さんに言われた。 先に修斗さんにそう聞いてくれてた竜から教えてもらってたけど、修斗さんの口からも直接ちゃんと聞くことができて心底ホッとした。竜のことを疑っていたわけじゃないけど、でも直接聞けたから安心した。 ホッとしたけど…… でも俺、修斗さんの事好きになりすぎちゃって怖いよ。どうしてくれんだよほんと。 「康介?……だからあれは姉貴だってば。まだ怒ってるの?」 屋上は寒いから、修斗さんは誰かのベンチコートを俺と一緒に頭から被せている。 二人で頭から一つのベンチコートを被って座ってる状態。 だから凄い至近距離で修斗さんは俺の顔を覗き込んでくる。 「あれ? 怒って……ない? どうした? 康介悲しいの?」 目に涙が溜まってしまってて、それが修斗さんにばれてしまった。 むちゃくちゃ恥ずかしい。 「康介ってば、ヤキモチ妬きすぎちゃって泣けてきちゃった?」 クスッと笑って修斗さんは俺の頬にキスをした。 「俺、大好きだよ康介の事。俺の事で泣けてきちゃうなんてすげえ嬉しい」 そんな俺は複雑な気持ちで修斗さんに寄りかかる。 ……修斗さんはいつも余裕だな。 「こおすけっ、俺にも好きって言ってよ」 にこっと笑って俺を見る修斗さんの頬にキスをしながら 「大好きです……」 そう言って、ギュッと強く抱きしめた。

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