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康介修斗のバレンタイン 4
もうすぐバレンタインデーだ。今年からは俺、誰からも貰わないって決めたんだ。
今まではさ、こういうイベントって楽しいじゃん? 女の子からも男からも、結構チョコ貰うわけよ。それで貰ったチョコを姉貴と一緒に「これはあの店の限定品だ」とか、「これは流行りのあの店の人気No. 1のだ」とか、あれやこれや言いながら食うのが楽しかった。
でも今年からは康介が俺の彼氏で、康介は俺がチョコ貰ってる姿見たら、絶対にしょんぼりする。笑っちゃうくらい想像できる。
康介って変にネガティヴなんだよな。俺が他人からチョコなんて貰おうものなら「俺の事好きじゃないんだ」とか言いかねない。
それにきっと怒るだろうし。
ヤキモチを妬いてくれるのは嬉しいけど、それで康介が元気が無くなっちゃうのは凄い嫌だからさ。
でもな、バレンタインライブ。
これはしょうがないよな。
せめて学校ではチョコ、貰わないように頑張ろう。
昨日は姉貴の買い物を付き合ってたのを康介に見られてたみたいで、学校に行ったら竜太君に聞かれた。康介がめちゃくちゃ沈んでるらしいから、説明しろって言われた。
竜太君の言っていた通り、呼び出しても元気のない康介。
姉貴だと説明してもなんだか浮かない顔をしてる。
……てか、泣いてる?
どんだけ俺の事好きなんだよ。
そんな康介が堪らなく可愛いく思う。
きっとまた、ネガティヴな事考えてんだろうな。
「康介ってば、ヤキモチ妬きすぎちゃって泣けてきちゃった?」
いじけてる様子の康介の頬にキスをする。
どれだけ俺が好きだと伝えれば、安心してくれるんだろう。
こんなにも康介のことが大好きなのに、なんでなかなか伝わらないんだろう。
「俺、大好きだよ、康介の事。俺の事で泣けてきちゃうなんてすげえ嬉しい」
……大丈夫だよ。
俺は康介の事しか見えてないから。
俺だって康介の事、こんなに大好きなのに……
「こおすけっ、俺にも好きって言ってよ」
にこっと笑って康介を見ると、グッと俺を抱き寄せ頬にキスをしてくれた。
「大好きです……」
康介に静かに耳元で囁かれ、俺は胸がキュッとなる。
時折見せる康介の男らしさに、いつもドキドキさせられる。
もっと強く抱きしめて…
もっとしっかり俺の事を見つめてて。
そう思いながら、俺は康介に寄り添った。
「……康介汗くさい」
「もう! すみませんね臭くて! ……なら離れればいいでしょう!」
……いつもの康介。
「ん、好きだからいいの」
「ああもう! くすぐったいから。そんなにすりすりスンスンしないでください。ほんとっ、やめて! くすぐったいってば!」
「キスしてくれたらやめてあげるよ 」
俺は目を瞑って康介の方に顔を向ける。
「はぁ? なに可愛い顔して言ってんすか?……しょうがねぇなぁ 」
康介はプリプリしながら、軽く唇にチュッとしてくれた。
「ふふ……」
康介、ちょっとは元気戻ったかな?
俺だって大好きなんだから、そんなに心配しないでよね。
「康介、大好きだよ」
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